お気に入りのアナログ

「CIVILTA' DEL MEDITERRANEO」  ブルーノ・ニコライ  伊EDI-PAN CS 2011

 日本語に訳すと「地中海の文明」というタイトルのテレビ・ドキュメンタリー作品。ニコライはこの自身のEDI-PANレーベルやジェメリ・レーベルからレコードをリリースしているが、厳密にはプライヴェート盤のようだ。とくにEDI-PANからはドキュメンタリー作品のサントラが多く、有名な「イタリア鉄道ものの三作品」もこのレーベルからである。とりわけ、このアルバムの1曲目の「海」という曲は果てしなく澄んだメロディと繊細なストリングスが素晴らしい曲である。また、タイトル曲も哀愁に富み、雄大に広がる地中海になつかしさと気品高さを持った文明の香りがする。都会の生活に疲れた時や、人間関係に疲れた時には、ひとりで聴いていると、きっと心洗われる思いがするであろう。

「セルピコ」  ミキス・テオドラキス   米パラマウント PAS 1016

 少年期の頃には、「セルピコのテーマ」だけが美しくて好きだったんだが、年を経るにつれて「正直警官のテーマ」とかのサブ・テーマもだんだんと好きになったというか、このアルバム全体が味わい深く、何度も聴きたいと思うようになってきた。「セルピコのテーマ」を使った変奏曲もいいし、ギリシャやイタリアの田舎臭い(セルピコはイタリア移民の設定)ような味のある曲である。都会的なクロスオーバー・ジャズ(死語)の「正直警官のテーマ」や追跡の時の曲もいい。静かなジャジーな曲もいい。最近はこのアルバムをBGMにパソコンに勤しんでいる。もちろんCDに起こして何度も聴いている状態だ。

「遥かなる青い海」チプリアーニ・スクリーン・ムード・ゴールデン・プライズ 
キング GP-86

 「サントラ魂」ともあろうサイトがカヴァーものを愛聴盤に選ぶとは、とお思いでしょうが、カヴァーといえども映画音楽作曲家のステルビオ・チプリアーニが指揮、ピアノという内容であるので選びました。というかチプリアーニ・マニアでなくても聴くものを驚愕させ魅了するこのアルバムを紹介せず、なんでサントラ・ファンと呼べましょうや。静かにモリコーネの当時公開曲で始まると思いきや、「愛のアンジェラス」で女性スキャット炸裂! ピアノ演奏はノリノリ、果ては原曲をとどめないほどのアレンジ、しかも「サウンド・オブ・サイレンス」にモリコーネ風アレンジと暴走しまくり。あともう一つ、裁判により盤権を得たとされる「栗色のマッドレー」まで演奏(自身のピアノ)するほどの力の入れよう。最後の自身の曲の「ベニスの愛」はもう刺身のつまでしかないようにも思える。サントラ・ショップの「レア」に「お薦めですよ」と紹介され、まさに自分の好みというより波長がバッチリ合ったといえる一枚。何度もCDに落としたものを聴き込んでます。お友達の「花・山・魚・菜」にもプレゼント、彼も気に入ってくれました。高くても1万円はしないと思われますので、お早めに探してみては。

「栗色のマッドレー」   フランシス・レイ   コロンビア YS-2493-AX

 あれは中学生の頃だった。レコード店の中で数カ月溜めた小遣いを握りしめ、どちらを買おうかと迷っていた。その2つとは、「栗色のマッドレー」と「個人教授」。折しもテレビでは「個人教授」を放映した後、FMの映画音楽コーナーでは「個人教授」の3つのトラック(メイン・テーマとヴォーカル、スキー場でのめぐり逢い)を流していたことがある。対する「マッドレー」はメイン・テーマしか流れていなかった。「3曲も流れるんやで、こっちの方が内容濃いんやろ」そして選んだのが「個人教授」でした。しかしその後、テレビで「マッドレー」の放映を観た時、あのラストの、ドロンが飛行機で帰ってくる時に流れたスキャットのテーマが、寝床についた私の頭から映像ごと離れなかった。親に頼み込んで小遣いを前借りし、レコード店に行ったもすでに無く、店主に聞いたら廃盤とのこと。悔しくて数十年。めったにお目にかかれず、目にするも高額。そんな折、メール友達でCDを交換しあっていたH氏から「売ってました。半々でどうですか。」とのお誘い、即答したのは言うまでもありません。H氏はCDに落してもらえればよいとのこと。感謝感謝! こんな数十年の思いが詰ったレコードはなかなかない。ラストの曲は何回聴いても良い。クリスチャン・ゴベールは偉大だ。復刻は望み薄な理由はここで。 

「三人の逃亡者」  ウラジミール・コスマ   仏CARRERE CA/682/66.406

 

 物凄く流麗で壮大なメイン・テーマ。田舎の香がするタイトル曲。やさしく流れるメイン・テーマの変奏。どれをとってもコスマの傑作。映画はフランシス・ベベール監督がアメリカでリメイクしたほどの力のいれようだが、音楽の方は断然コスマのフランス版です。CDも出てたのですが逃してしまい、その後、すべては聴けないがフランスのPOMME MUSICのコスマ・コレクションのvol.10を得た。ここでは8曲聴けます。残念ながらメイン・テーマは収録されていないが、フィナーレで同様の感動が得られるぞ。

「ロミー・シュナイダーの情事」  フランシス・レイ  仏Polydor 2393 078

 主要な主題となるメロディは2つである。この2つの主題が様々に形を変えて演奏される。まさにサウンドトラックの王道たるアルバムだ。最近の主題がはっきりしない効果音楽だらけのアルバムとはこうも違うものかと改めて思わせてくれる。私は映像が好きだ。だが音楽はもっと好きだ。効果音楽は映像を引き立てるものだ。それはそれでいい。だが私は映像とともに流れる音楽を楽しみたい。映像とマッチし、身震いするような音楽が聴きたいのだ。例えそれが音楽先にありきの映像でもだ。フランシス・レイとクリスチャン・ゴベールのコンビはそんな欲望を満たせてくれる。そしてその作品の監督もだ。ゴベールはスキャットの使い方が実にうまいのだ。

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