ネパール


  『ナマステ!』パタンの旧王宮前広場、ダンバール・スクエアーでみかけた子ども達。少女たちの多くは、赤ちゃんを負んぶして遊んでいた。いつまでも飽きずに、観光客の後を追っかけてくる。私が子どもの頃は、子どもが赤ちゃんをおんぶする姿は、それほど珍しくなかった。なぜか日本から遙か離れたネパールで、五木の子守唄にある大和娘の姿を想い出した。あどけない少女たちの顔は明るく、生き生きとしており、日本の子守歌のもの悲しいイメージはない。カトマンドゥで聖なる処女神、クマーリーが、生き神の館の窓から覗かせた、あの物憂げな表情とは好対照である。
 パタンを訪れたとき、町はお祭りで賑わっていた。古い家並みの並ぶ街路、木造家屋の二階の窓が開け放たれ、女性や子どもたちが身を乗り出しパレードを眺めている。その裏通りの一角で凧を売っている少女に出会った。化粧した少女が、こちらを向き微笑んだとき、処女神・クマーリーが、静まり返った裏町に、突然、姿を現したような気がした。

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