南インド2


 ナマステ!
 ケーララ州の中央に位置するコーチン、アラビア海に面する港町である。ヴァスコ・ダ・ガマの墓石のある聖フランシス教会、その近くに中国式の漁法で知られるフィシング・ネット、ユダヤ教会がある。船着き場で出会った少年たちは、たぶんストリート・チルドレン。  お金をせびる彼らに、ボールペンと写真撮影のトレードを申し入れる。「君たちが僕に何かを望むように、僕は君たちの写真がとりたい」「ギヴ・アンド・ティク、いいね・・・」彼らの険しい表情が少し穏やかになる。 「なら、オーケーだろう?」「もちろん、君たちに写真を送るよ」「君たちの住所は?」「第七ガッコウ・・・」「ここに書いてよ」 「・・・・第七ガッコウ・・・」彼らは字を書けない。  
 


 マドゥライの郊外には、象の姿に似たエレファント・ロックがそびえ立つ。町の中心には、ミーナークシー寺院があり、東西南北 に四基ある巨大な長方形の門塔が印象的である。極彩色で装飾された門には、ヒンドウの神々が祀られ、寺院の内部は、敬虔な信徒たちで 溢れかえっている。寺院の内部は、お土産を売るお店や神々に捧げる供養物が売られ、母親達は乳飲み子をだいて、参道の両脇で井戸端会議?を開いている。
 門前で出会った物売りの少年は、「ママの作った布袋だけど買ってよ!安くしておくよ!」 「キミは学校へ言っているの?」「パパが死んで、ママと二人で暮らしている」「勉強したいけどお金が無いのさ」「本当かい?」「本当だヨ」「だから、これ買ってよ」「買うから,学校へ行って、勉強もしろよナ」
 観光客と門前の小僧たちとは、毎日のように、このような掛け合いで商いをしているのだろう。神々に抱かれて生活する人々の途方もないエネルギーに圧倒され、その渦巻くような人の流れの中に埋没してしまいそうになる。


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