松阪少年少女合唱団会長
 越知愛幸子(えみこ)さん(71)
 松阪市櫛田町



合唱で“協調”の大切さを
童謡や唱歌の伝承活動も


 子どもたちが心を一つにして奏でるハーモニー。優しさや温かさがじんわりと伝わってくる。「学校や学年の枠を越えて、高い感性と豊かな心を」と始めて十九年が過ぎた。多くの成長を見守りながら指導する一方、地域の文化振興にも力を注いでいる。


 小学校の教頭をしていた平成元年。地域の合唱団がなく、子どもらは自分の通う学校にクラブがないと、合唱活動ができないことに疑問を感じ、松阪高の羽根功二教諭(当時)と発起した。


 現在は小学生から高校生まで三十五人が在籍。六十人ほどの大所帯の時期もあったが、塾や受験、クラブ活動との両立に悩み、辞める子も少なくない。


 しかし「どんな形でも、音楽と関わったことは大人になって懐かしくよみがえる。感性を磨くことは、お金で買えない財産」と話す。


 練習量が足りない時、自発的に集まって“夜練”をする子に付き添い、夏の合宿では初めて親元を離れて寝泊りする子、その面倒を見る仲間を見守り、目を細める。


 越知さんは、長年の指導で協調≠フ大切さを言い続けている。他人任せではなく、自分の意見や表現を持った上で、一歩後ろへ引いて、周囲の声を聞く。


 「自分の意見が通らなかったら、相手を排除するような考え方は好きでないから。最近のいじめ問題にもつながるのでは」と話す。


 第十七回発表会は、四月二十二日午後から松阪コミュニティ文化センターで開く。
 一方で「教科書から消えた歌」をテーマに、童謡や唱歌を歌い継ぐ活動も。同市本町にある大正時代の生家は、無料休憩所「まちの駅寸庵」として活用され、自らも運営メンバーで観光客をもてなしている。


 自宅で一人暮らし。忙しい合間を縫って友人と行くコンサートが楽しみという。


 同市合唱友の会会長、大正ロマン一座副座長、松阪文化センター運営委員長。


(福家 明子)


 H19.2.28 第289号

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