産婦人科医院
 ナオミレディースクリニック院長
 野田直美さん(37)
 松阪市深長町



生命誕生に大きな喜び
夫やスタッフへの感謝忘れず


 開院から七カ月。取材は急な手術を終えて午後の診察までのわずかな時間だったが「皆さんのお役に立てるよう頑張りたい」と、さわやかな笑顔が印象的だった。


 奈良県出身。三重大学医学部を卒業後、同附属病院で勤務。平成十二年に医学博士を修得し、主に済生会松阪総合病院(松阪市)で経験を積んだ。


 その間に結婚、二児を出産。妻、母そして医師。家庭との両立を考えて開業に踏み切ったという。


 診察室の机からペン、カルテ用のかごまで開院に先立ち集まったスタッフと一から用意した。「百円ショップに何度通ったかわかりません」と笑う。


 止めても良いのかと戸惑うほど整った駐車場も、皆でさくのペンキを塗り、花壇の植え込みなどに当たった。


 本当にスタートできるのか―。そんな不安は共に奮闘するスタッフがいたから、乗り越えられたという。院内の明るくアットホームな雰囲気は、この絆によって作られているのかもしれない。


 内診室に入ると、曲線にデザインされた天井が、間接照明に照らされてきれい。「診察中の患者さんは天井しか見えないから、リラックスしてほしくて」と野田さん。


 「出産する母親にとって家族は、いてくれるだけで力になる」と入院する個室に、家族が泊まれるタイプを設けた。洋館を思わせるおしゃれな外観、広々とした待合室など女性らしい配慮が至る所に感じられた。


 他科に比べ激務で、産婦人科医を志す若者は年々減少している。県南部でも医師不足問題で揺れた。「わたしはお産が好き。患者さんとの会話、エコーに写った赤ちゃん。小さなことも喜びになっています」と話す。


 陰で支え、医療面でも絶大な信頼を寄せるのが夫で副院長の和彦さん(43)。「普段は言わないけど感謝しています」と。


 休日は長女奈々夏ちゃん(7つ)、長男光央貴君(5つ)とゲームやハゼ釣りを楽しむ。


(福家 明子)


 H18.12.13 第287号

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