佐佐木信綱記念館 学芸員
 磯上 知里さん(27)
 鈴鹿市石薬師町



人とのつながり大切に
夢は信綱ネットワーク


 鈴鹿市出身で歌人、国文学者として名を残した佐佐木信綱。同氏の句碑は全国各地にあると言われ、休日はその句碑めぐりを。「全部回ったら一冊の本にまとめたい」と話している。


 昔の生活や文化に関心があり、皇學館大学文学部で学芸員の資格を取得する授業を選択した。


 万葉仮名の解読や掛け軸、古文書の扱い方、博物館法など、さまざまな知識を習得。奥深さを知ったほか、辞書を片手に文字を解読、調査することの楽しさも味わった。


 記念館への就職は担任の勧めから。信綱についてあまり知らなかったが、意外にも授業で作品を習っていたことがわかり、親しみが増したという。


 就職一年目から特別展の企画を担当、これまで自分なりの角度で信綱を紹介してきた。著書や自伝が多く残っているため助かったが、わからないことは母校の教授や郷土史家に教えてもらった。


 しかし、「こうすればよかった」「こういうことを研究していきたい」と反省は尽きず、学芸員としてやっていけるのか―と悩んで壁にぶち当たったことも。


 そんなとき、ある男性が名古屋から来館し、「母が、信綱の家で住み込みの手伝いをしていた。母の意向もあって、その時もらった引き出しや小物を寄贈したい」との申し出があった。


 この人は書籍にも記録されており、展示した際にも訪れてくれ、「代弁してくれてありがとう」と涙を流して喜んでくれた。この出会いが自信にとなって一層高まったという。


 その後も多方面から寄贈を受け、人と人とのつながりの大切さを感じた。「信綱は第一回の文化勲章受章者。しかも校歌の作詞も多数手掛けています。市内外問わず多くの人に理解や興味を持ってもらえるよう広めるのが使命。いつか信綱ネットワーク≠作りたい」と、夢は続く。


 津市井戸山町で両親と三人暮らし。


   (内田 敬子)


 H18.10.11 第284号

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