「国語表現」の実践報告

(資料Y) 枠組み指定作文 ※本校の生徒作品
@「〜という(種類)のものがある。」(呈示)
 A「あたりまえのように〜。」(通念に対する疑念)
 B「〜とはそういうものであろう。(発見)
 C「となると〜。」(再認識)
 D「そう思うようになってから〜。」この枠組みを崩さずに、文章を作成するのだが、生徒たちはずいぶん考え込んでいた。ただし、生徒の中には枠組みに当てはめた方が、よい文章が書けたという生徒もいた。ある発見がもとで、今までの自分の考え方を再認識するという枠組みだったので、自分自身を見つめるきっかけになったという感想が多かった。そういう意味では、これも自分理解に役立ったと思う。この作品も、生徒同士で相互批評させた。


 福祉といわれるものがある。ケアワーカーと呼ばれる介護福祉士や、ソーシャルワーカー、いわゆる社会福祉士などが、たずさわる仕事がそれだ。働く場所は児童相談所から老人ホームまで幅広く、仕事内容も、健康福祉、医療福祉と様々だ。  けれど、これらの仕事に共通するものがある。人々の心の奥深くに見えるもの。 老人や障害者は出来る限り、尽くしてあげることこそ福祉なのだと思っていた。そして、その考えが当たり前のように受け取られている。あまりにも自然に。  何もかもをしてあげることが果たして本当に福祉なのであろうか。そうすることが一番良い方法なのか。  私は考える。人々から生き甲斐を奪ってはならないと。相手のことを本当に思うならば、生きる目的を、意味を与えてあげなくてはいけないのだ。真の福祉とはそういうものであろう。  となると、相手がしようとしていることを先回りして代わってあげては意味がない、ということになる。してあげれば満足できるかもしれない。しかしそれはただの自己満足なのだ。やれることは出来るだけ本人にさせてあげるべきだろう。  そう思うようになってから、私は福祉の仕事にたずさわる人々を、尊敬とともに見つめるようになった。彼らこそ本当の愛情を持った上で優しくも厳しくもなれる類い希な人々だから。


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