SCENE.AーVIII

       登場人物:ルシィ、タケル、ジュリ、フィオ
          場:サルディン北東の村外れ

 「…あ、あの方達って、今度も、もしかしてもしかしたら…えっと、わたしのせいで怒っていらっしゃるんでしょうか?」
 困惑顔のルシィに尋ねられて「いーや」とタケルは首を振る。
 「ってゆーか、まぁきっかけはそうかもしれないけど」
 そう、確かに全てはいつだってこの世間知らずでちょっとズレてる『一体どーゆう育ち方してんだ、お前?』のルシィが巻き込まれる(運んでくる)トラブルが原因には違いないんだけれど。
 でも。
 「奴等の『あれ』は趣味だ」
 「趣味…ですか?」
 「うん。でなきゃ、ああ飽きもせずいちいち揉められるわけがないと思うね。オレは」
  テキトーになれあってればどんなにラクか、オレですら、この身に染みてるってゆーのに奴等がそれを知らないとは思えない。なのに、わざわざ貴重な時間とエネルギーをああいう風に使うのだ。
そりゃーもう、好んでしているとしか考えられないじゃないか。
 「…じゃあ、えっと。わたしは?」
 「別に何もしなくていいし、気にすることもないだろ。ほっとこう」
 「そうですか?それでいいんですか?」
 眉間に皺をよせてまで真剣に悩んでいるルシィをほらほらと追い立てながらタケルはとりあえず村に向かうことにする。奴等もその内来るだろう。趣味の時間が終わったら。

            SCENE.KーII