演歌歌手の加賀城さん
“夫婦二人三脚”で歌の心を
高齢者慰問の社会貢献も


 鈴鹿市在住の演歌歌手が、全国でキャンペーン活動を展開している。マネジャーを務める夫と「努力してこそ、感動を伝えられる」との信念で行脚を続け、歌唱力と地道な活動が評判。一方では、歌を通じて社会貢献するためお年寄りの慰問。夫婦二人三脚≠フ道を目ざしている。(福家 明子)


 この人は同市白子四丁目、加賀城美鈴さん(40)=本名・山城洋子。母の影響で、幼いころから昔の流行歌をよく聞いて育った。いつしか歌うのが好きになり、敬老会や町内の旅行で近所の人に聞かせていた。


 会社員時代は、テレビやラジオ局のカラオケ番組に出場して大会を総なめ。趣味で歌うのが楽しくて、プロになる気はなかったが、夫の山城勉さん(57)の「人生は一回きり。二人で歌にかけてみよう」―という言葉が転機になった。


 松阪市清生町の作詞・作曲家、梅田一巳氏による「女の演歌道」で平成十六年五月、キングレコードからデビュー。温泉や娯楽施設で出演している。


 歌手活動の移動は、すべて公共交通機関という二人。夫が「事故をしては歌ができなくなる」と、車の運転免許を返還したためだという。


 キャンペーンでは、衣装や宿泊道具を詰め込んだキャリーケースを二つ持ち、県内外の居酒屋やスナックなど飲食店を地道に回る。時には大雨の中を、時には山の中の道路を延々と歩き続けることも。


 一昨年に訪れた和歌山県新宮市では、そのひた向きさと抜群の歌唱力でファンを拡大。「アンタの歌が一番うまい!」と喜ぶ聴衆に、三十分の予定だったステージが一時間半になった。


 加賀城さんは「人との出会いに感謝して、一生懸命歌っていきたい」と意欲を見せる。
 一方、デビュー当時から病院や老人福祉施設での慰問を続けている。すでに四十カ所以上にのぼる。軍歌や唱歌などレパートリーは九百曲。「岸壁の母」など、情感あふれるセリフ入りの歌が特に好評で、居合わせた若い人も涙するほどという。


 昨年四月、勉さんは音楽に専念するため、経営していたカラオケ喫茶を閉めた。今年は夏に九州や四国、秋から北海道へ。「組織もお金もなく厳しい道だが、努力あるのみと思ってやってきた。情熱は誰にも負けない。多くの人に覚えてほしい」と話す。


 来月二十一日、四日市市生桑町の温泉施設「ユラックス」で歌謡ショーに出演する。


H19.2.28 第289号

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