金融業会の王道≠極め。さる七月八日に七十八歳で死去した三重信用金庫相談役・青田良太郎氏。その「お別れ会」が先月二十七日、松阪市の華王殿で営まれた。約五百人が参列、中小企業の育成と地域経済の活性化に尽力した故人をしのび、冥福を祈った。

 ▼同氏は昭和二十五年、同金庫の前身・松阪信用組合に入り、相談役までの五十七年有余をその道一筋≠ノ貫いた。後半は松阪商工会議所会頭の重責を兼務。「初心忘るべからず」「感謝の気持ち」を信条に、対話を常に重んじて二時間ほど対談したが、その時の第一印象―厳しい表情の中に、快活な笑顔があった

 ▼話の中で特に感動したのは、両親から頂いた名前について。「青い田んぼに、良い稲が実るような努力を積み重ね、恥じない人になりなさい」という父の教え=Bそれを、子どものころから守ってきたという。

 ▼やがて詩人で書家・相田みつを氏の作品に出会う。その詩の中に、企業経営に即応した活路を次々と見い出した。一番好きだったのは「そのとき どう動く」。これを役職員の人事評価に取り入れた。仕事に対する早い行動力と判断力、そして成果などを昇格の基本とし、責任体制の強化を図った

 ▼顧客ニーズが多様化する現在、人材教育こそ商いの原点=\と力説。全職員が総力を結集、地域のために貢献してきた経営方針は、今も脈々と生かされている

 ▼青田から黄金色へ。実りの秋≠迎えた。天国から俗界へ―元気な説教が聞こえてきそうな気がする。合掌。

 (社長 藤原 貞雄)


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