何かが狂い出した。国民の、政治などへの不信が急激に高まっている。不正、不祥事、事件が次々と明るみに。先が見えない“黒いベール”は、社会全体に動揺を与えている
▼長かった平和が、人間性を変えてしまったのだろうか。安倍内閣の「美しい国日本」の再生スローガンは、不信が渦巻く国へと変わりつつある
▼拝金主義が反映した村上ファンド事件、偽装設計あたりから突出したように思う。県庁の裏金、官制談合による“政治と金”がからんだ三県知事の逮捕、官僚の事務所費疑惑は、前農水相を自殺にまで追い込んだ。さらに保険業界の保険金不払い、証券大手の不正決算などのほか、教育、スポーツ、テレビ業界までも不祥事が。忘却してはならない事実である
▼最近の大きな問題は、介護を食い物にしたコムスン、食品の偽造など。特に五千万件に上る年金保険料の不明は驚異的なケース。総理と関係大臣、社会保険庁のトップと職員は、責任を取って賞与を返上すると公表したが、パフォーマンスとしか思えない
▼これが民間企業なら懲戒免職の重罰。公金意識に欠けた倫理観の欠如は、政治家と官僚に特に多い。この陰には、論議が十分に尽くされない国会の“ザル法成立”も災いしている
▼国民は、こうした事態を厳しく受け止め、“勇気ある行動”をしてほしい。かつての住民パワーはどこへ行ってしまったのか。その復活は地方の起爆剤。二十九日は参院議員の選挙です。惰性に流されない“清き一票”が望まれる。
社長 藤原 貞雄
H19.7.11 第296号