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島田 佳雄氏(55)
三重刑務所長
津市修成町
刑務官育成も私の使命
約百年ぶりに「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」が施行。矯正処遇の強化や、施設の透明化などが触れられており、「新法への転換期に、刑務官でいられるのは大変だけどいい経験。定着させるのがここでの仕事」と抱負を。
広島県因島市(現・尾道市)出身。三人兄弟の末っ子で父親は開業医。野球少年で、長嶋茂雄選手は憧れの存在だったという。
高校卒業後、島を出て関西大学法学部へ進学。知人の勧めで刑務官の道へ進んだ。
初の赴任先は広島刑務所。看守は受刑者の手本になるという社会的責任の重い仕事。交代勤務の中、き然とした態度をこなす大変さもあったが、「これが刑務官の仕事だから」と無我夢中に励んだという。
その後大阪、広島を中心に転勤。各ポジションの上司や先輩を手本に、経験を積んだ。
矯正研修所広島支所では、教官として新人職員を育成。寮生活などで仕事のいろはを教えたが、女性を収容する岩国刑務所が出来たため、女性職員も指導した。しかし、自分が研修を受けていたころとは違い、精神的な面で辞めていく人も。「辞める人は辞めてもいい。だが仕事を理解してからにしなさい。中途半端では次へは続かない」と教え、叱咤激励だけではなく、個々に合わせたケアも心掛けた。
この経験で、刑務官も一人の人間。立派な社会人に育てること―を強く感じ、所長に就任してからも機会を見ては職員に説いている。
「刑務官育成、受刑者の改善更正、職員の育成…と、社会的使命をつくづく感じます。また、刑務所があるのも地域の協力と理解があってこそ。その使命を果たすことが地域のみなさんと社会の恩返しになる」と話している。
趣味は読書。司馬遼太郎のファンだが、ジャンルは問わずに読む。最近では茂木健一郎の「脳と仮想」がおもしろかったという。
妻、長女、長男を大阪に残して単身赴任中。以前体調を崩したこともあり、野菜をたくさん摂ることに気を遣い、自炊している。
【プロフィル】
昭和五十二年広島刑務所看守、松江刑務所係長、広島刑務所課長補佐、広島矯正管区保安課長、矯正研修所広島支所法務教官、大阪拘置所統括矯正処遇官、福岡拘置所首席矯正処遇官(処遇担当)、大阪矯正管区不服審査調査官、大阪刑務所首席矯正処遇官(作業担当)、大阪拘置所首席処遇官(処遇担当)、矯正研修所広島支所教頭などを経て先月から現職。
H18.5.10 第277号
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