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生きつづける
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世界最古の木造建築・法隆寺の柱から、ほんのり檜の香りが…。
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宮大工として著名な、故・西岡常一氏が、かつて法隆寺の昭和大修理の折、約千三百年経った檜の柱にかんなをかけると、伐りだしたばかりの新しい木の香りが周囲に漂ったそうです。法隆寺の檜は、まだ現在も生き続けているのですね。

ところで地球上でもっとも長生きする生物をご存じですか。それは木です。日本の屋久杉には樹齢二、三千年のものが少なくありません。さらに素晴らしいことに、木は大地から離れて木材になり、建物になってからも大変長寿なのです。確かに法隆寺はあらゆる好条件に恵まれた長生きの大代表ですが、日本にも海外にも百、二百年以上経った木造建築は数多くあり、木の家が長持ちすることを証明しています。

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PHOTO 例えば、左写真の「旧小田小学校本館」は、明治十四年(一八八一)竣工、ただ今百十六歳。現在も近代初等教育資料展示室として一般公開されています。

木材はもともと湿気を吸収・放出するので雨などに濡れても大丈夫ですが、むしろ寿命を左右するのは湿気がこもってジメジメしている状態。対策としては、設計施工時に乾燥と通風を十分に考慮すること。 柱や梁には耐腐朽性・耐蟻性の高い木材を使用すること。さらに最近は防腐・防蟻薬剤を加圧注入した木材や、耐久性に富んだ施工法が普及し、木の家はどんどん丈夫になっています。

大切な財産だから、いっそう長寿で快適な木の家を。私どもは、より多くの方々に木材の良さを理解していただきたいと願っています。

  • 参考資料/西岡常一著「木のいのち木のこころ(天)」草思社発行。「木の家」(財)日本住宅・木材技術センター発行より。
  • 「旧小田小学校本館」(近代初等教育資料展示室)/上野市小田町1411