MCI患者の約70%は進行性に認知機能が低下!
軽度認知機能障害(mild cognitive
impairment;MCI)は,正常と痴呆の間に位置する知的グレイゾーンとしてクローズアップされてきた槻念である.MCIには臨床的にも病因論的にも多様性があり,種々の痴呆症に進行しうる前駆段階を含む状態と考えられる.これまでにも,age-associated
memory impairmentやage-associated cognitive
declineなどの槻念も提唱され,研究者の間でも,正常と痴呆の間のborderlineを加齢の延長線上にとらえる(normality
model)か,疾患の始まりとして位置づける(pathology
model)かの立場の違いが存在する.
東北大学老年内科におけるもの忘れ専門外来における経験から,医療機関を受診するMCI患者の約70%は進行性に認知機能が低下し,脳脊髄液タウ値が高く,アルツハイマー病(AD)の前駆段階と思われ,実際MCIからADへの年間転化率は約15%であった(progressive MCI,進行型MCI).一方,他の30%は認知機能障害に進行がみられず,脳脊髄液タウ値が正常範囲内で,MRIにおいて脳室周囲白質病変が比較的高度であった(stable MCI,非進行型MCI).この脳室周囲白質病変には,vascular risk factorや年齢が関連していた.今後の臨床治験におけるコリン分解酵素阻害薬やγ-セクレターゼ阻害薬のprimary targetは進行型MCIであり,その診断のためには記憶検査,MRI,脳脊髄液検査による総合的な判断が必要と考えられる.
(東北大学大学院医学系研究科先端漢方治療医学 荒井啓行)
私の感想
平成17年1月15日号の日医雑誌P273〜279に、第125回日本医学会シンポジウムにおけるアルツハイマー病に関連する部分の講演要旨が、特集として組まれました。
特に、目新しい情報はありませんでしたが、上記のMCIに関する記述はよくまとまっておりましたのでご紹介させて頂きました。
荒井先生のご指摘のごとく、進行型MCIと非進行型MCIにきちんと分けて検討しないと、薬の効果の判定などもできませんね。