言語性記憶は、左側の海馬がより強く関係すると考えられている。これに対し右側の海馬は、音の短期記憶障害、顔の記憶(遅延性再認)障害、複雑な図形の記憶障害などに強く関連していると考えられている。
機能的MRIを使った研究では、絵の記銘をしているときには、両側海馬後部が賦活し、その賦活は右海馬後部のほうが強かったという。これに対し、「今日あったことを思い出してください」という課題を与えると、左海馬付近にわずかであるが賦活がみられるが、右海馬には賦活がみられなかった。なお最も大きな賦活は左右の前頭葉にみられた。
第6回日本脳ドック学会総会(1997 in TOKYO)の学会会場で浜松医療センターの金子満雄先生は、「アルツハイマー病も前頭葉から機能低下が始まるので、かなひろいテストをしていれば早期診断できます!」と発言し、シンポジスト(及び「私」)と意見が分かれたが、上記の“「今日あったことを思い出してください」という課題を与えると、左海馬付近にわずかであるが賦活がみられるが、右海馬には賦活がみられなかった。なお最も大きな賦活は左右の前頭葉にみられた”という結果をみると“金子先生の持論も、正しい症例もあるかな”と感じました。
アルツハイマー病にもいろんなタイプがあります。海馬障害から発症するタイプのものが多いのだろうと私自身は考えておりますが、前頭葉機能低下から始まるタイプのものも結構多いのかもしれません。
早期アルツハイマー病診断のためには、どの検査(神経心理テスト)が望ましいのか?ということが、第6回日本脳ドック学会総会で話題となりました。私も痴呆予防ドックで発見された「初期アルツハイマー病」でこの課題を検討してみましたので、ご紹介いたしましょう。
検査結果(H9年5月13日までの痴呆ドック67人の分析結果)
初期アルツハイマー病8人の検査結果(陽性率)
【HDS・R(24点以下)-----7/8、1名だけ25点】
かなひろいテスト(KPT)-----2/8(25.0%)
点眼試験(3倍以上) -----5/8(62.5%)
アポリポ蛋白陽性 -----6/8(75.0%)
現状では、かなひろいテストだけでは限界があるため、種々の検査を組み合せて使って総合的に診断していくというのがbestであると考えております。なお以上の結果は次の学会ででも報告しようかと考えております。