噛み合わせの異常は肩こり・腰痛の原因か
調査は平井教授らの研究グループが、昨年十一月から今年一月にかけて、北海道内の病院に入院中のお年寄りのうち、入れ歯を使用している四十一人(平均年齢82歳)を対象に実施した。内訳は総入れ歯が28人、部分入れ歯が13人だった。
歯科医の検診と本人への問診で、お年寄りの入れ歯の機能を調べた結果、「不良」が22%、「中」は49%、「良」は29%だった。
痴ほうの程度は医師の質問による受け答えで評価。この結果、痴ほうは六八%、痴ほうでなかったのは三二%だった。またお年寄りの身体活動機能は、準寝たきりが36.3%、軽度の寝たきりが51.2%、重度が12.5%だった。
研究グループは入れ歯の機能と痴ほう、寝たきりなど身体状況との相関関係を調査した。
その結果、まず入れ歯と痴ほうの関係について、入れ歯の状態が「不良」の人の全員が痴ほうだった。「中」では痴ほうが60%、「良」では41.7%と、入れ歯の状態が悪いお年寄りほど、痴ほうが進んでいた。
入れ歯の状態と身体活動機能(寝たきり)との関係についても、入れ歯が「不良」では、寝たきりが77.8%(重度22.2%、軽度55.6%)だったのに対し、「中」では寝たきりが65%(重度15%、軽度50%)、「良」では寝たきりと準寝たきりが同数だった。この結果から、入れ歯の状態が悪いと、痴ほう、身体の状況が悪化していることが裏付けられた。
痴ほうが進んだため、入れ歯への適切な処置ができていないことも想定されるが、平井教授らはかむことによる刺激が、脳や身体機能の神経活動に刺激を与えるのでは、とみている。
平井教授は「歯が心身の健康にいかに重要かを示したテータだ。中高年の人たちは、自分の歯を少しでも残すよう努力してほしいし、万一入れ歯になっても、しっかり合った物を使うことが必要だ」と話している。
(以下、本文)
咬合運動が全身に影響を及ぽすとの報告はいくつかある.この場合,論じられる咬合は咬合干渉,咬合挙上,不正咬合など,多義にわたるが,まとめると顎運動に変化をきたしたさいに全身になんらかの症状が現れることが示されている.上田らはラットを用い,咬合破壊が不良姿勢の原因であることを明らかにした.また,宮田らは顎口腔系の異常が全身に及ぽす影響として姿勢および重心動揺軌跡を検討し,咬合干渉を付与した群の半数以上に有意な変化を認めた.一方,山下らは下顎前突症患者と健常人を対象に,肩こり,腰痛,姿勢異常を有する割合を比較検討している.その結果,下顎前突症患者は健常人と比較して肩こり,腰痛,姿勢異常を多く認めた.さらに,同下顎前突症患者に対し下顎骨後退術を施行し,術前術後の脊柱状態を比較した結果,有意に姿勢が改善されることが明らかとなった.
さてこの記事のポイントの、「入れ歯が悪いと痴ほうが進むか?」ですが、やはり「痴ほう・寝たきりになって噛むことが減って、噛むための筋肉が落ちて、入れ歯が合わなくなった」と考えるのが妥当ではないでしょうか。この疑問を解決するには、プロスペクティブな検討で、入れ歯の状態の良い人と悪い人を無作為に分けて、痴ほう症がどちらの群でどの程度発症したかという事を検討しなければならないことは言うまでもありません。