事故が心配、職員足りない!
身体拘束ゼロ作戦から1年半!
針原 陽子
「ベルトをしていればよかったのに」。大阪市内の老人保健施設で今年10月、半身まひがあるハナさん(86歳、仮名)が車いすから立ち上がろうとして転倒、骨折した際、介護スタッフの間からそんな声が上がった。
この施設では6月ごろから、ケアマネジャーが中心になって拘束廃止に取り組んできた。痴ほうのお年寄り50人が生活するフロアでは20人近くの人が車いすにベルト(抑制帯)で縛られたり、ベッドを柵で囲まれていたが、それを10人程度にまで減らし、新たな拘束はなるべくしないよう心掛けていた。
ハナさんの場合も、痴ほうが軽く手すりにつかまれば立ち上がれる状態だったため、拘束はせず危険な時に声をかけることで対応していたが、転倒を防げなかった。この事故があってから、拘束廃止の取り組はやや停滞気味だ。
個別介護で「ゼロ」実現
2年半前から拘束廃止に取り組んでいる特養「フィオーレ南海」(大阪府田尻町)の柴尾慶次施設長は、「痴ほうケアの方法論を確立しなければ、一時的に拘束を外しても、いずれも元に戻ってしまう」と指摘する。
フィオーレでは今年6月、最後まで残っていた1人の拘束をなくした。重い痴ほうとパーキンソン病の症状があり、車いすから急に立ち上がっては顔から倒れてしまうスミさん(83歳、仮名)のヘッドギアを外したのだ。
「拘束ゼロ」実現のかげには、スタッフの細かな観察と前向きの対応があった。急な立ち上がりは排せつと関連していると見て、行動で気づいた点をチェック、その情報を全員で共有した。その結果、横を向いて険しい顔をしはじめるのが排せつをサインであることを突き止め、その表情が見えるとすぐにトイレに連れていくことで、急な立ち上がりを減らした。
「お年寄りの生活を、施設や職員の都合に合わせようとするから無理が生まれ、拘束につながる。何十人もの人を集団的にケアするのではなく、少人数を対象にスタッフを固定して、一人一人に合った『個別ケア』を目指すべきだ」と柴尾施設長は話す。
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私の感想
「縛らないケア」が声高らかに叫ばれていたので、私もそれがための「事故」を懸念しておりましたが、各地の現状が分かりとてもいい記事でした。
理想は“個別ケア”なんでしょうが、現実には難しい課題だと思います。