痴呆の高齢者ら悪質商法標的に

 

 相談6年で2万件超!

 アルツハイマー病の診断基準(DSM-IV)!


 悪質な消費者被害に遭った痴呆(ちほう)性のお年寄りや知的障害者、精神障害者らの相談が6年余りで2万件を超えることが23日、国民生活センターの調査でわかった。02年度に全国の消費生活センターに寄せられた相談は約6500件で、97年度の3.1倍に増えており、同センターは「悪質な業者が、判断能力が十分でない人を狙い始めている」として注意を呼びかけている。

 痴呆性の高齢者などから97年4月〜03年1月までに寄せられた消費者トラブルの相談は約2万2000件。70〜80代が半数近くを占め、特に70代の女性が多い。

 年代でみると、20代では、路上のキャッチセールスなどで高額なアクセサリーや絵画を買わされるトラブルが28%を占めて最多。30〜40代では消費者金融・ローン関連の被害が13%でトップとなっている。60代以上は訪問販売によるふとんの購入契約が17%で最も多く、住宅改修をめぐるトラブルが8%と続いている。

 痴呆性高齢者の場合は、大半が一人暮らしだという。現金で払わされ、領収書がないため業者の名前が特定できないケースもある。一人暮らしの70代の女性が7組のふとんを120万円で買ったものの、本人は契約を覚えていなかったケースもあった。

 知的障害者の場合、「携帯電話のメールで知り合った人の勧めで75万円のふとんの購入契約をし、業者に消費者金融に連れて行かれて代金の一部として50万円借りさせられた」(20代女性)、「30万円の健康食品を買い、訪問販売員に貯金通帳と印鑑を渡してしまった」(50代女性)など深刻な例もあった。

 クーリングオフなどで解約できた例がある一方、本人がだまされたことに気づいていない場合も多く、相談以外にも表面化していない被害は多いとみられる。

 木間昭子主任研究員は「高齢者や障害者が施設などから出て地域で暮らし、福祉や介護サービスを自分で契約する時代になっている。被害防止のための新たな取り組みが必要だ」と話している。

(平成15年4月24日 朝日新聞・総合)

 

私の感想

 最近もHP上で、成年後見制度に関わる問題点をご紹介いたしました。

 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/KoukeuTheJudge.shtml

 さてこれらの問題を解決するにはどうすればいいのでしょうか。

 その前に、アルツハイマー病の診断に関わる問題点を紹介しておきましょう。アルツハイマー病の診断基準(DSM-IV)は、下記のようになっています。

1 記憶障害がある。

2 次の認知障害の1つ以上がある。

 失語:言葉が出てこない。言葉の理解ができない。

 失行:運動機能は正常なのに、動作を遂行することが出来ない。

 失認:感覚機能は正常なのに、対象を認識できない。

 実行機能の障害:計画・段取りや手順などの障害。

3 上記により、日常生活に支障を来す。

4 緩徐な発症と進行性の認知機能低下。

5 脳血管障害、身体疾患、中毒性疾患ではないこと。

6 意識清明であること(=せん妄などではない)。

7 うつ病などの精神疾患ではないこと。

 

 さて「法定後見」では、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の3類型に分かれています。

 もっとも軽い「補助」の認定でも、例えば、軽い痴ほう症の患者さんが補助人(例えば長男)に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には、補助人がその契約を取り消すことができるようになるなど、財産管理が可能となります。

 そこで問題となってくるのが、「軽い痴呆」なのかどうかと言う認定です。

 軽度の痴ほう症の場合には、MCIとの区別が難しいことは、このHP上で何度も紹介してきました。

 今一度、MCIについて復習しておきましょう。

 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/AlzMCIasada.shtml

 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/MCI0718MedTribune.shtml

 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/AlzMCINeurology2002.shtml

 

 MCIは、「1年でその12%、4年ではおよそ半分がアルツハイマー病に進行する」とされていますが、一方では「数%はMCIにとどまり、40%以上が正常に戻ったという」という調査結果もあり、進行するかどうかは個別に観察しないと判断できない(進行するかどうかは予測困難)という大きな問題点が残されています。

 したがって、悪質商法から痴ほう老人を守る手段と言えば、「痴ほう症状かな?」と家族が感じた段階で早めに医療機関を受診し、しばらく経過を観察してもらい、進行性の有無をチェックしてもらう。

 進行性に悪化することを確認することは、アルツハイマー病診断基準の「4:緩徐な発症と進行性の認知機能低下」という重要な確認事項なのです。

 このようにして長く主治医に経過を観察してもらっていれば、痴ほう症の判断能力の「鑑定」書類が必要になったときに、すぐに記載することが可能であるというメリットも出てきます(軽症の痴ほう症新患であれば、「進行性の悪化」を確認しないとアルツハイマー病であることが確認できないので、半年ないしは1年は経過を追わないと「鑑定」できないのです!)。

 痴ほう症状かなと感じたら、早めに受診して下さいね。

 

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