認知症の予防

 

 ボケ予防通説検証結果!


 認知症は、「知的機能の障害により、日常生活や社会生活が営めなくなった状態」と定義されます。食事をしたこと自体を忘れて「嫁がご飯を食べさせてくれない」と言ったり、自分でしまい込んだのを忘れて「お金をとられた」と騒いだりするため、家族や近隣の人々とのトラブルに発展することも多いのです。認知症と混同されやすいものに、加齢による「良性老人性もの忘れ」(=加齢性記銘力障害)がありますが、こちらは「なかなか覚えられない」とか、「なかなか思い起こせない」といったもので、知能の障害は認められません。認知症では、記憶力の低下に加えて、計算力、判断力といった認知障害が起こるため、日常生活に支障をきたしてきます。

 従来、生活習慣の改善で予防可能なものは良性老人性もの忘れとされてきました。認知症の予防に関しては明確な裏付けはありませんでした。

 私は、認知症に関する講演依頼をよく受けますが、その時主催者の方から、「皆さんの関心が高いので、認知症の予防面について重点的に話して欲しい」という要望をよく受けました。そんな時かつては、「実は認知症予防に関しては、科学的に証明されたものは存在しないのですよ」と説明しご理解を頂いてきました。

 「認知症予防」に関しては、科学的に証明されていないから証明しようという動きは数年程前からありました。「ボケ予防通説検証(厚労省が1万人追跡調査! 手作業? 青魚?)」とタイトルされた2002年1月24日付読売新聞の記事には大きな関心が寄せられ、私も大変注目しておりました。

 その結果が最近発表されました。『週3〜5回・1回20〜60分、音楽に合わせてステップを踏む簡単な有酸素運動の実施。また魚の脂質に含まれるDHAやEPAなどを含む栄養補助剤を毎日摂るとともに、30分以内の昼寝をした結果、生活習慣を指導したグループでは認知症の発症率が3・1%だったのに対し、しなかったグループは4・3%にのぼった』(2006年5月27日付読売新聞)という予防効果が確認されました。今までにも、生活習慣を観察し、数年にわたって認知症の発症率などを見る「観察研究」による報告は複数ありましたが、生活習慣改善を行う「介入研究」により予防効果が確認されたことは大きな意義があります。

 1997年に発表されたオランダ・ロッテルダムの調査結果ですが、55歳以上の住民約5000人を調査したところ、魚を平均一日18・5g(さしみ二切れ程度)以上食べていたグループは、3g以下しか食べなかったグループよりアルツハイマー病の発症率が低かったという報告があります。魚摂取の困難な方には、エパデール(高純度EPA製剤)という医薬品もあり、高脂血症などの方には保険適応されますので服用を検討されるのも一方かと思います。

 アルツハイマー病の危険因子として種々揚げられていますが、避けることができる危険因子としては3つだけです。「アルミニウム」、「煙草」(2・3倍発症率が高まる)、「不活発な生活」の3つです。

 一時、アルミ鍋からのアルミニウムの溶出がマスコミで騒がれましたが、アルミ鍋からの溶出量は極めて微量です。意外と知られていないことですがある種の医薬品には、かなり多くのアルミニウムが含有されています。その医薬品の代表は、一部の制酸剤です。例えば、マーロックス、アルサルミン、アルミゲル、アドソルビン、SM酸、アランタなどです。他にもまだまだありますので、心配な方は担当医、薬剤師さんなどにご相談ください。

 今後ますます、認知症の予防に関する科学的な研究が進み、少しでも認知症の発症が抑制できることを願っています。 

(平成18年7月28日号 三重タイムズ第981号・日々想々)

 

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