家族でも簡単にチェック!
メモリーチェック表!
痴ほうの四〜五割を占めるといわれる「アルツハイマー型痴ほう症」。予防や根治療法はまだないが、ごく初期なら、進行を遅らせる薬がある。ただ初期症状は「老化に伴う物忘れ」と区別するのが難しい。そこで専門知識を持たない家族などでも簡単にアルツハイマー型かどうかをチェックできる方法を、青葉安里聖マリアンナ医大神経精神科学教室教授が考案した。
(藤 英樹)
アルツハイマー型痴ほう症は「夜空の星のまたたきのように」と例えられ、静かに、だが確実に進行していく。六十五〜七十四歳では2.5〜3%程度の発症率が、七十五歳を超えると急激に高まる。八十五〜八十九歳では20%、九十五歳以上では約半数が発症するとのデータもある。
青葉教授によれば、アルツハイマー型の症状は「初初期」「初期」「健忘期」「混乱期」「終末期」の五段階に分かれるという。健忘期を過ぎると、本人に物忘れの自覚がなくなり、妄想や執着、昼夜逆転、はいかい、失禁なども伴うため、介護する家族の精神的負担は一気に重くなる。
「初初期の段階で処方すれば進行を遅らせる薬剤が開発され、早期発見・治療の機運が高まった。介護する家族の心の準備期間を十分とれるし、経済的負担も軽減できる」と青葉教捷は強調する。
ところが、初初期や初期の症状は「年を取ったことによる物忘れではないか」と見過ごしがちだ。その結果「病院に来たときはすでに健忘期に達していて、治療しにくい患者さんが多い」と同教授。
考案した「メモリーチェック表」(=表参照:省略)は、専門知識のない家族でも簡単にアルツハイマー型かどうか発見できるよう工夫され、特に遅廷再生(間を置き記憶したことを答えさせる)の設問に重点をおいている。
チェック表は「はい・いいえ」や簡単な言葉、数字を答える二十一の質問(うち五つは記憶を妨げる質問)が並んでいる。最初に「慣れている所で道に迷うか」など三項目に答えてもらい、一つでも「はい」があれば疑いありとして、専門医の受診を勧める。
三つすべて「いいえ」なら、次の「今日の日付を覚えられない」などの十の質問に移り、すべて「いいえ」なら、アルツハイマー型痴ほう症の可能性はないと判断される。ここで一つでも「はい」があれば、さらに次で、今日の日付(年月日と曜日)を二回尋ね、正しく言えなければアルツハイマー型痴ほう症の疑いあり。正しく言えた場合は、次で「桜・猫・電車」と言ってもらい「後でもう一度聞くから」と伝えたうえで、簡単な引き算や数字並べ、野菜の名前などを答えさせ、記憶を妨げる。その後再び「桜・猫・電車」を言ってもらい、すべて言えれば疑いなし。言えなければ疑いありと判断される。
アルツハイマー型痴ほう症の判断基準として「長谷川式簡易知能評価スケール」(長谷川和夫・聖マリアンナ医大理事長が考案)が、従来広く使われているが、青葉教授のチェック表は、蛇口の閉め忘れなど、家族が判断する質問も取り入れ改良を加えている。長谷川理事長は青葉式について「私の評価スケールのよいところを取り入れ、さらにアルツハイマー型痴ほう症の判断のポイントとなる遅延再生能力を試す高感度の質問が加えられている。さらに家族からみた情報も集められる点が評価できる」としている。ただ、初初期の患者をこれで的確に発見できるかは「今後、多数の症例に当たらないと即断はできない」とつけ加えた。
青葉教授は「毎回同じ人が望ましい。事前に必ずチェツクすることを伝え、向かい合って本人の目を見ながら聞く。わずかな答え方や態度の変化を見逃さないでほしい。一度問題なしと出ても、三カ月ごとのチェックが必要」と説く。チェック表はインターネットのホームページ(http://www.mental-navi.net/)で見られる。
私の感想
「初初期」という新しい用語が飛び出しましたね。
いずれにしても長谷川先生が言われるように、「初初期の患者をこれで的確に発見できるかは今後、多数の症例に当たらないと即断はできない」ということになるかと思いますが、三カ月ごとのチェックするという手間を煩わしく感じなければ、初初期の発見は可能だと思います。
上記HPには、簡単なテストが3つほどアップされており、その中の一つにもの忘れのチェック表があります。