認知症の早期診断に威力:SPECT

 

 アルツハイマー:頭頂葉の内側面にある楔前部や後部帯状回、頭頂・側頭部などで血流の低下がみられる!


 計算ドリル、音読、塗り絵…。今、老若男女を問わず「脳の鍛錬」に励む人が増えている。若い人は記憶力アップ、中高年は認知症予防がその目的だ。

 認知症を患う人は約百七十万人。二〇一五年には二百五十万人まで増えると推測されている。認知症というと、不治の病と思いがちだが、種類はさまざま。正常圧水頭症によるものなど治癒が見込める場合もある。最も多いアルツハイマー型も、回復は難しいが薬で進行を遅らせることができるようになり、早期診断、早期治療がますます大切になっている。

 ▽同じことを何度も言う▽置き忘れが目立つ−などの症状があれば、早めに専門機関を受診したい。

 受診すると一般的に問診、血液検査、記憶・認知機能テスト、そしてMRIなどによる画像検査が行われる。原因特定に欠かせない画像検査の中でも、早期診断に威力を発揮し、多くの病院で普及しつつあるのが「SPECT(単一光子放射断層撮影)」だ。

 MRIは腫瘍がないかなど脳の構造的変化をみるのに対し、SPECTは脳細胞の働きを血流量を通してみる。脳細胞の活動性が血流量に反映されるからで、血流量が低いとその部位の脳機能の低下が疑われる。

 患者は、微量の放射能を放出する放射線元素を含んだ薬剤を注射され、三十〜四十分ほど横になるだけ。脳血管内を通る薬剤の濃度分布を、上下左右あらゆる角度から撮影した画像をコンピューターで処理。色の変化で医師が判断する。

 国立長寿医療センター(愛知県大府市)の鷲見幸彦外来診療部長は「アルツハイマー型は頭頂葉の内側面にある楔前部(せつぜんぶ)や後部帯状回、頭頂・側頭部などで血流の低下がみられる。また、若年の人に多いピック病は前頭・側頭部で顕著な低下がみられ、SPECTは認知症のタイプを特定する有力な武器になる」と話す。

 タイプにより治療だけでなくケア方法も異なるといい「事前に知ることで家族の負担が軽くなる」と意義を強調した。

 現在、SPECTを使って、認知症には至っていないが、その前段階として注目される「軽度認知機能障害(MCI)」の状態で診断し治療できないかを検討する研究が、同センターはじめ全国四十一施設で行われている。

(遠藤健司)

(平成18年8月18日 中日新聞・図解「診る・治す」)

 

私の感想

 軽症認知障害のままでとどまるか、アルツハイマー病に発展するのかの予測は、かつてはいかなる専門医でも困難でした(脳脊髄液検査で予測する方法もありましたが)。

 しかし近年、MRIのVSRADという手法あるいはSPECTにより80%程度は、アルツハイマー病に発展するのかどうかの予測が可能になってきたとも報告されております。

 本当に予測に有用であるのかどうかのSPECT研究は3か年計画で行われており、現在2年目です。

 私が一番懸念しているのは、SPECT上は「アルツハイマー病に発展する可能性が高い」という診断結果が出て告知されたけれど、実際にはアルツハイマー病には進展しなかったという『偽陽性』のケースが出てくるのでは・・という点です。実際に私が診療中の非進行型MCI患者さんの中にも、SPECT上は「アルツハイマー病と思われる」という診断が出た方がおられます。この辺りの『偽陽性』率も、SPECT3か年研究で明らかにされることを願っております。

 

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