高次脳機能障害:支援の現場は

 

 就労への道開く!

 障害者手帳求める動き!

 名古屋市総合リハビリテーションセンター!


 交通事故で頭を打ち脳に拐傷を受けた人が「高次脳機能障害」という後遺症に悩んでいる。けがが治って元気そうなのに「ものが覚えられない」「集中力が続かない」「感情を抑えられノない」など、外から“見えない障害”で復職・復学や社会生活が難しい。愛知県で「脳外傷リハビリテーション講習会」が近く開かれるのを機に、この障害のリハビリと今後の課題を追った。                  

(高間 睦)

 

 脳外傷者と家族でつくる「日本脳外傷友の会」(十四支部)の訴えに、厚生労働省は二〇〇一年度から「高次脳機能障害支援モデル事業」を神奈川、名古屋、三重、岐阜、北海道など十二自治体で進めている。

 名古屋市総合リハビリテーションセンターは、診断に続いて医療・生活・職能のリハビリ、生活支援プログラムと“一貫した支援”の先駆者だ。

 愛知県豊田市の西原陽介さん(二一)も、その「職能訓練」を受けている。

 昨年九月、自動車事故で二週間意識を失い、診断は左足骨折と脳のびまん性軸索損傷。脳細胞をつなぐ神経の線維が、いたるところで傷んでいると言う。頭がぼ〜つとして病院でのリハビリの内容は全然覚えられず、二カ月で退院した。

 別の脳外科でも「リハビリはできない」と断られたが、医療相談員に教えられ昨年11月初め、名古屋リハセンを受診、即入院した。この障害は受傷から半年以内ならリハビリ効果が大きいからで「うれしかった」と西原さん。

 入院二カ月、理学、作業、言語療法とともに心理療法を受け、すぐ忘れてしまうのを補うため、メモを取りノートを携え「障害を自覚して行動する習慣」を身につけた。

 職能訓練は通院で毎日受け、不良品を見つける仕分けは、初め発見率10%、今はほとんど100%。右目の視野が半分欠けているから、目と首を動かして「見るべき範囲を意識する訓練」の成果だ。

 自動車工場でバンパー製作に復職したい。だが、一つの工程を覚えても、新しいことはマニュアルがないとこなせない。先輩の支援に期待しつつ「訓練で自信をつけて復職しよう」と懸命だ。

 このモデル事業には十代から六十歳まで六十七人が登録され、うち四十人が情報系(パソコン)と作業系に分かれて職能訓練を受けている。

 名古屋リハセンは、モデル事業開始の前年度に高次脳機能障害と診断した二百十八人を対象に、その後の生活を調査、百六十八人から回答があった。会社や工場へ一般就労は18.5%、作業所や授産所に福祉就労は13%、合わせて三人に一人が働いている。自営・家事手伝いは9.6%。復学は11.6%だった。

 全国平均では、一般就労はわずか数%。復職できても周囲とのトラブルで辞めてしまうケースも多いという。

 同事業の就労率が高いのは、一貫した支援のうえに「自分の障害を自覚して行動をコントロールする訓練をするから」と、名古屋リハセンの阿部順子福祉部主幹は心理療法の大切さを強調する。

 だが、心理療法は医療保険の報酬点数が認められていないから、採用する病院は少ない。

 また、骨折などの障害は「身体障害者手帳」が取れ、障害者支援費や障害年金を受けられるが、高次脳機能障害は対象外で、四割に手帳がない。

 交通事故が増え、高次脳機能障害者は全国で三十万人と厚生労働省は推定、二〇〇六年度から支援を全国展開する計画だ。ただ、同省は、精神障害の中に位置づけることを提案しており、これに対し、日本外傷友の会は「独立した障害として手帳を交付し、各県に支援センターを置き、心理療法を点数化してほしい」と、十一月四日、同省に申し入れる。

(平成16年10月27日 中日新聞)

 

私の感想

 「高次脳機能障害」の「訓練効果・リハビリ効果」に関しては、長い間“疑問視”されてきた部分もあり、また医療保険の報酬点数が認められていないという大きな問題もありこと「心理療法」に関しては、積極的には取り組まれてきませんでした。

 今回、その「効果」に関する部分が少し紹介されました。陽の当たらない分野に眼を向けた高間記者の鋭い感性を感じますね。

 自験例では、4年前に心臓発作で「脳虚血」となり高次脳機能障害を起こしたT山さん(当初、三重大学病院入院)を、H16年に松阪中央病院リハビリ科の○田先生にご紹介したこともありました。記事中に「三重県」とあるのは、松阪中央病院のことなんでしょうね。

 T山さんをH14年より診療中なのですが、担当のT口ケースワーカーさんがしっかりされた方で、T口さんの勧めで鈴鹿厚生病院の精神科のK○○Drに紹介状を書き、「障害年金」の診断書も書いて戴くことができましたし、松阪中央病院がそのような診療を行っていることもT口ケースワーカーからのお電話で知ることができました。

 障害者の方にとっては、知識豊富な良いケースワーカーが担当に当たるかどうかと言うのが、大きな分岐点になる場合もありそうですね。

 

ご意見はこちらまで

ホームへ戻る