記憶の「検索信号」とらえた

 記憶を思い出すしくみ・・・脳の前頭葉から側頭葉へと流れる「トップダウン信号」:この信号が、側頭葉に蓄えられていた絵の記憶を検索!


 目でものを見て脳に記憶した絵や文字を思い出すときに、大脳の前頭葉から電気信号が出ていることが、宮下保司・東京大医学部教授らと科学技術振興事業団の動物実験でわかった。記憶を蓄えるしくみは、分子レベルで盛んに研究されているが、記憶を思い出すしくみはあまりわかっていない。今回の発見で、それを解明する道が開けたとしている。十四日発行の英科学誌ネイチャーに掲載される。

 宮下教授らは、サルを使った実験で、脳の前頭葉から側頭葉へと流れる「トップダウン信号」を見つけた。この信号で、側頭葉に蓄えられていた絵の記憶を検索し、それを思い出すことができたという。

 宮下教授は「今後は複雑なネットワークがどのように制御されているかを解明したい」と話している。

(参考文献:平成11年10月14日 朝日新聞・総合)

 

私の感想

 アルツハイマー病の患者さんのMRI像を見てみると、前頭葉の萎縮が顕著な方、側頭葉の萎縮が顕著な方とタイプが分かれます。

 いったん記憶したことが思い出せないという症状が強い方は、上記の結果によれば、前頭葉の方が関与がやや強いのかなと感じますね。まだまだ詳細な検討はこれからというのが現状のようです。

 1999年11月4日号の、Medical Tribuneにも「海馬は新しい空間記憶を形成する役割を果たしているが、古い空間記憶を想起するうえにおいては必要ではないと思われる(長期記憶の想起に海馬はあまり関係していない)=海馬が傷害されても、患者の古い郷里の自宅付近の道路に関する知識は保たれていた」という報告(Nature400、671-675&675-677、Larry R. Squire博士)がされています。

 

過去のバックナンバー

1 大脳の前頭葉は記憶を検索する役割(参考文献:平成10年8月7日 中日新聞)

 保存場所の側頭葉に指示出して思い出す!

 

2 こうして記憶は作られる(参考文献:平成10年2月号 日経サイエンス P17)

 機能MRIで形成過程画像に!

 強い記憶に対応して脳の前頭葉前部,および海馬傍回皮質(記憶情報のコード化に関係していると見られてきた部位)の活動レベルが上昇

 

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