中部病院の研究グループ:26日、愛知・師勝町でシンポ!
若い時のことを思い出し、脳の活性化を図る高齢者の心理療法「回想法」が、軽い物忘れのある人の集中力や記憶力の改善に著しい効果があることが、国立療養所中部病院の遠藤英俊内科医長のグループの研究でった。昨年末の日本痴呆ケア学会で発表した。
回想法は高齢者の脳の活性化や情緒安定に効果があると言われるが、初めて科学的に裏付けられた。
遠藤医師のグループは、愛知県師勝町の回想法センターで65歳以上の人を対象に開かれている「回想法スクール」の参加者26人を対象に、昨秋から約2カ月間かけてデータを取った。スクールは週1回1時間計8回開かれた。「ふるさとの話」「漬物をつける」などをテーマに作業療法士らが参加者と語り合った。
その結果、軽い物忘れのある8人と物忘れのない9人について、集中力が向上したり、記憶力が改善するなどの効果が見られた。特に軽い物忘れのある人については、スクール参加の前後で2割程度、認知機能の検査の数値がアップした。
遠藤医師は「薬物療法だけでなく回想法や音楽療法なども高齢者の物忘れ防止や改善に効果があることを証明していきたい」と話す。
また、町が参加者の家族に聞き取り調査をしたところ、「笑顔が多くなった」「参加前は感情に波があったが、穏やかになった」「自分から動くようになった」など、家族にも好評だった。
師勝町では、26日午後1時半から、町民総合体育館で回想法に関するシシポジウムを開く。回想法の研究や実践に詳しい野村豊子・岩手県立大数授の基調講演などもある。無料。
問い合わせは、総合福祉センター「もえの丘」(0568-26-2888)。
私の感想
記事を読むと、AAMIあるいは良性老人性もの忘れの方には、回想法によるトレーニングが有効というデータのようですね。
遠藤先生のコメントにはありませんが、痴ほう症に対する回想法の効果の科学的証明が今後の課題であると思います。
回想法:
過去のバックナンバー
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/KaisouhouMaturi1117Yomi.shtml
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/Kaisouhou0914Cyu.shtml
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/TihouKARASAWA.html
参考事項:
AAMI、MCI(平成13年4月号 精神科治療学 より抜粋)
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/AlzMCIasada.shtml
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/MCI0718MedTribune.shtml
前駆期・早期の痴呆症との鑑別の上で問題となる年齢相応のもの忘れについて述べる。1986年にアメリカの国立精神保健研究所からAge Associated Memory Impairment(AAMI)という観念が提唱されている。
これは50歳以上の人でみられる,人名や物の置き場所を思い出せないなどの記憶障害により日常生活に支障をきたした状態をさす。具体的には,最近の記憶に関する記憶テストの成績が若年成人の平均得点?1SD以下である。またWAISの語彙のサブテストで9点以上の得点,Mini Mental State Examination(MMSE)では24点以上である。
AAMIは本来生理的範囲にとどまるものを意味し,ADの初期を含む観念ではない。ところが このように操作的な診断基準ではADとの関係が曖昧になってしまう。またこの基準でいくと,対象とした高齢者の半数以上がAAMIであったという報告すらある。こうしたことからAAMIに対しては強い批判がなされるようになった。
このような背景で,悪性度の高いもの,すなわちADへと進行する状態として示されたのがMild Cognitive Impairment(MCI)である。
その診断基準は,1)自覚的な記憶障害の訴えと家族によるその確認,2)年齢に比し異常な記憶力低下(記憶検査では平均値から1.5SD以上の低下),3)記憶以外の認知機能は正常,4)運転や家計などの日常生活の能力は保たれている,5)痴呆はない,である。 MCIと診断された患者を追跡すると1年でその12%,4年ではおよそ半分がADに進行したとされる。
もっともMCIそのものは新しい観念ではない。というのは以前から,isolated memory impairmentと呼ばれ,その多くがADへと進展する一群があることが知られていた。
(国立精神・神経センター武蔵病院 朝田 隆 宇野正威 共著)