見える医療へ一歩

 遺族対象外に不満!


 「私は現実的な案だと思っていましたが、見通しが甘かったのでしようか…。それでも、簡単に引き下がるつもりはありません。この線で報告書をとりまとめたい」。二十三日、厚生省で開かれた「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」の終了間際、座長の森島昭夫・上智大教授はカルテ開示の法制化に並々ならぬ意欲を示した。委員会からは「いますぐ義務化する必要はない」「条件整備が先だ」との反論も出たが、将来の法制化まで否定する意見はなかった。閉鎖性に対して批判がある医療の世界で、診療情報明細書(レセプト)開示に続き、患者への情報公開がまた一歩、前進しようとしている。

 

■不快感

 検討会の席上、斉藤憲彬・日本歯科医師会常務理事は、座長試案に露骨に不快感を示した。

 「義務化の必要はないのではないか。レセプト開示で何が起きたか。『払いすぎた医療費を取り戻そう』などという市民運動が起きている。カルテの開示も、悪質な市民運動に利用されるおそれがある」

 国立精神・神経センクーの高橋清久総長もカルテが他人に見せることを前提に書かれていない現状を踏まえ、「(きちんとしたカルテを書き、管理する)環境が整備される前に、開示の義務の法制化が先行するのは、おかしい」と法制化に消極的な意見を述べた。

 この日の検討会に提出された事務局作成の報告書素案は十項目から成るが、九番目の「法制化の提言」のみが「別紙」の形になっている。事務局案に森島座長が難色を示し、この部分だけ「座長試案」という形で提出された。

 「法制化は時期尚早。カルテなど診療情報を患者に提供するためのガイドラインを作る」という「落としどころ」を想定していた厚生省側も、座長試案の内容には驚いたという。

 検討会メンバーの宮坂雄平・日本医師会常任理事は検討会終了後の朝日新聞の取材に「なにがなんでもカルテを見せろ、というような意見には反発を感じるが、患者と医師の信頼関係を強めるためのカルテ開示論なら、絶対反対というわけでけない」と微妙な言い回しをした。

 

■市民

 レセプトやカルテの開示を求めてきた「医療情報の公開・開示を求める市民の会」の勝村久司・事務局長(京都府在住)は、開示の対象に遺族が含まれていないことに不満をあらわにした。「大阪府などの一部の自治体では、遺族にカルテが開示され始めている。厚生省の検討会はこうした動きを把握していないのではないか」と枇判する。

 大阪府八尾市は三月、死者の個人情報の開示請求権を明示した個人情報保護条例を制定した。死者のカルテなどの開示請求権をその子供や父母、配偶者、相続人にまで認めたのは、全国初という。十月の施行をめざしている。 

(参考文献:平成10年4月24日 朝日新聞・総合面)

 

私の感想

 大阪府八尾市の試みというのは私も知りませんでした。それにしても遺族にはカルテ開示の請求権がないというのは、どのような目的から決められたのでしょうかね。やはり悪質な医療訴訟を防ぐというような意味あいがあるのでしょうか。よく分かりませんね。

 それにしても斉藤憲彬・日本歯科医師会常務理事は、「義務化の必要はないのではないか。レセプト開示で何が起きたか。『払いすぎた医療費を取り戻そう』などという悪質な市民運動が起きている」というような恥ずかしいコメントをよくマスコミにしたものだと思いますね。払いすぎた医療費(不正請求)があるのなら、取り返すのは当然のことだと思うのですが・・・。

 

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