廃用症候群

 

 体動かし生活に刺激を!

 全く使わないでいると、一日に3〜5%ずつ筋力が低下!


 「廃用症候群」。あまり聞き慣れない言葉と思いますが、お年寄りが病気や障害などにより、日常の活動性が低下したり、安静を保たなければいけないときに、発生する二次的な機能の衰えをさします。

 筋肉は使っていると太くなり、強さも増します。逆に使わないでいると、筋肉はやせ、筋力が衰えます。全く使わないでいると、一日に3〜5%ずつ筋力が低下し、寝たきりの生活を一カ月も送ると、お年寄りのほとんどは歩けなくなってしまいます。

 現在、寝たきりの人のほぼ三分の一は、この廃用症候群を原因としています。廃用症候群は筋肉だけでなく骨、関節、皮膚、さらには心臓、肺臓など内臓にも起こります。寝たきりの人の骨が弱くなる、床ずれができるなども、含まれます。

 病気のための安静期間が長くなると「ぼけてしまうのでは」という質問をよくいただきます。確かに心の廃用症候群もありますし、痴ほうを発症される人もいます。が、むしろ刺激のない生活で意欲が低下し閉じこもりの状態となり、廃用症候群をさらに進行させるという悪循環になってしまう方が大きな問題です。

 廃用症候群は外科手術を受けた後や、心臓病など内科の病気を患った後、安静にしている期間が長いと発生してきます。また、風邪をひいて寝込むといった、ささいなことがきっかけで発生し、ついには寝たきりになってしまう人もおられます。

 きっかけが何であっても、安静期間が長くなるほど廃用症候群が発生しやすくなります。周囲の人も「体を動かす援助をするより、寝ていてもらった方が楽」と安易に考えたり、本来なら本人ができることまで手伝ってしまうと結果的に廃用症候群が起こりやすくなります。

 廃用症候群にならないためには、痕気にかかってもなるべく早くベッドから起きること。まひや障害が発症したら、できるだけ早くリハビリテーションを始めることです。ただし、病気の状態を見ながらですので、かかりつけの医師とよく相談の上で行いましょう。

 また、心の廃用症候群である、閉じこもりを防ぐために、趣味やサークルなどで、日常的にほかのお年寄りとのかかわり合いの中で役割や生きがいをもつことが必要です。

 廃用症候群にかかってしまっても、リハビリなどで改善できる人も多くみえます。あきらめず、徐々に体を起こす方向で計画を立てましょう。

 廃用症候群は、脳卒中や心臓病などの″病気″ではありませんが、寝たきりの原因として重要で、かつ最も防ぐことが可能な″病気″ともいえます。

(国立療養所中部病院第四内科医長 三浦久幸)

(平成14年4月19日 中日新聞・せいかつ21)

 

私の感想

 「廃用症候群」というご家族からなかなか理解が得られにくい病態を、分かりやすく解説された良い記事でしたので紹介させていただきました。

 記事内にもありますが、「廃用性痴呆」は、アルツハイマー病などの進行性痴呆とは違って、本来T治りうる痴呆Uなのですから、そのつもりで頑張って予防・治療に頑張りましょう。

 余談ですが、『多くみえます』という三重県特有の方言を記事に使われておりますね。筆者も記者も三重県出身で違和感を感じなかったのでしょうね。私も時折指摘されるため、「みえます」というのが三重弁だと知っておりました。

 

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