痴呆の危険因子としての高血圧の疫学的検討

 アルツハイマー病と高血圧とは無関係!


【抄録】

 高血圧(HT)が脳卒中に限らず,さらに広い患者群に対する痴呆の危険因子であることを統計的に証明するために必要なステップを,520名の痴呆者を含む計3097名を対象として示した。

 解析にはロジスティック回帰分析を用いた。その結果,

(a)痴呆群全体をまとめて目的変数として,「あり/なし」で扱うかぎりはHTとの関係は明瞭にならない。

(b)痴呆群を垂度群と軽度群の2群に分けれぱ,アルコール(AL)過飲と高脂血症(HL)は軽度痴呆の有意な危険因子となる。

(c)重度群からAlzheimer病などの変性疾患や慢性消耗性疾患に伴う痴呆(計13%)を除外することで,HTと痴呆との関係は明瞭となる(rr=1.83,pく0.0008)。この場合,脳卒中歴のある者を除外しても結論は変わらない(rr= 1.79,pく0.003)。

(d)因子間の交互作用に関しては,軽度群とは異なり,重度群においては,HTとAL過飲およびHLの間に正の交互作用は認められなかった。

(秋田大学精神科   苗村育郎 阿部清子 菱川泰夫) 

(参考文献:平成11年3月号 精神医学 P275)

 

私の感想

 分かりやすく結果を述べると、高血圧と脳血管性痴呆の関係は明瞭であるが、高血圧とアルツハイマー病の間には相関関係はなかったというものです。

 当たり前と言えば当たり前の話です。何故なら、高血圧は脳卒中の危険因子であるから、脳卒中が原因で起こる脳血管性痴呆と関係があるのは当然であるからです。

 高血圧がアルツハイマー病の発症には関係しないというのが、本論文の最大の肝でしょう。

 

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