エストロゲンと痴呆
エストロゲンはアルツハイマー病の発症を遅らせる
過去のいくつかの報告で、閉経後のエストロゲンの減少とアルツハイマー病の進展との関連が示唆されている。これらの研究をさらに発展させる目的で、米国・南カリフォルニア大学の研究者は、アルツハイマー病の危険率に及ぼすエストロゲンの投与量、投与経路、治療期間の影響を調べた。
退職者の住人が多い地域における、8877人の女性を対象として14年間調査した。この間、3760例が死亡し、その中の248例は死亡診断書でアルツハイマー病と診断されていた。アルツハイマー病で死亡した方を、生年と死亡年をマッチさせた人(5人)を対照として、エストロゲンの使用の有無を調べた。
結果はエストロゲン使用者のアルツハイマー病の危険率は、投与経路(経口、クリーム、または注射)に関わらず、非使用者に比べて有意に減少していた(オッズ比0.65)。
経口の抱合型エストロゲンでは用量依存性に、またすべての経口エストロゲンでは投与期間に依存して危険率は低下した。例えば、経口エストロゲンを15年間、または少なくとも1.25J/日以上を服用した女性では、オッズ比は0.54であった。
オッズ比とはある結果が起こる確率(p)の、それが起こらない確率(1-p)に対する比であり、odds=p/(1-p) と表される。
オッズ比0.54ということは、経口エストロゲンを15年間、または少なくとも1.25J/日以上を服用した女性のアルツハイマー病を発症しない確率が、1/0.54すなわち1.85倍であるという意味になるわけである。
(引用文献:メディカル朝日、1997年4月号・p79)