アルツハイマー病に効果:エストロゲン

 閉経後に一年以上エストロゲンをのんだ女性は、八十歳でもほとんどアルツハイマー病にならない!?

 エストロゲンの投与で脳の血流は10〜20%増える!

 アセチルコリンの代謝が、エストロゲンによって活発になる!


エストロゲンがアルツハイマ−病に効く、との臨床試験の報告が世界で初めて出たのは、一九八六年。その後、欧米や国内からも報告が続き、最近の米国の疫学調査では、閉経後に一年以上エストロゲンをのんだ女性は、八十歳でもほとんどアルツハイマー病にならない、とのデ−タも出ている。

 しかし最初からこうだったわけではない。十月に横浜で開かれた国際閉経学会のシンポジウム「アルツハイマー病の新局面」で議長を務めた本庄英雄・京都府立医大教授(産婦人科)は八六年の報告を読み、アルツハイマー病の女性と同世代の病気でない女性のエストロゲンを測定した。その結果アルツハイマー病の女性の数値が低く、ホルモンの欠乏状態だった。

 高齢女性では大きな手術を受けた後に、軽度のぼけ症状が出ることがある。そこで「エストロゲンを効かせたい」と、胃の手術後の七十代の女性に、エストロゲンをのんでもらったところ、痴ほうを調べるテストの点数が上がった。

 一方アルツハイマー病の女性に、エストロゲンを若い女性とほぼ同量与えたところ、六週間で七人中六人の痴ほう症状に改善が見られた。高齢者向きに薬の量を半分にしても、同様にテストの成績は向上した。

 「息子の顔は分かるが、夫の顔は分からなかった女性が、エストロゲンをのんで三週間ほどで、夫の名前を呼んだり、化粧をして買い物に行く。うつ状態だった女性がムードが明るくなり、問題行動も減るなど、家族にも喜ばれることが増えた」と本庄教授。

 「なぜ効くのか」の解明も進んでいる。

 獨協医大の大蔵健義教授によると、エストロゲンの投与で脳の血流は10〜20%増える。本庄教授のウサギの実験では、脳の中枢神経の情報を伝える物質、アセチルコリンの代謝が、エストロゲンによって活発になることが確かめられた。

 また中枢神経の働きを支援するグリア細胞は、培養液のエストロゲンの濃度を上げると、働きの強い細胞が増え、こうした働きが総合的に脳の機能を助けると考えられている。

 しかし問題もある。エストロゲンをのみ続けると、七〜八割に性器出血がみられ、子宮がん予防のため併用する黄体ホルモンで、気分がうつになる人もいる。「エストロゲンが効果を発揮するのはアルツハイマー病の初期から中等度まで。予防を含め賢く使ってはしい」と本庄教授は話している。  

(参考文献:平成11年12月17日 中日新聞・健康)

 

私の感想

 先ずは、過去のバックナンバーをどうぞ(断言できない作用機序有効無効)。

 今回の報告では、エストロゲンの作用機序は「エストロゲンの投与で脳の血流は10〜20%増える! & アセチルコリンの代謝が、エストロゲンによって活発になる!」ということのようですが、一方では「ApoEを介する」という意見もありました。

 有効か無効かも含めて、そして作用機序の面でもまだまだ結論が出たとは言い難いようですが、久しぶりのエストロゲンの話題でしたので紹介させていただきました。

 

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