胃ろう:高齢者に広まる一方、失望の声も!
選択肢別の平均余命:最後まで経管栄養だけの人は827日!
病気のため口から食べるのが難しくなったとき、おなかに小さな穴を開けて胃に栄養剤を流し込む胃ろう(PEG、ペグ)。特に高齢の患者への利用が増えている。体力が回復したり、再び口から食べられるようになったりする人がいる一方、長く状態が回復せず、家族らからは「こんなはずではなかった」と失望する声も出ている。
(寺崎省子)
目標、「口からの食事」再開
術前に十分な説明必要
食べられなくなった時、患者や家族はどう考えたらいいのだろう。
札幌市にある西円山病院は、入院患者のほとんどが高齢者。病態が悪化して治療による改善が見込まれない時や口からの食事が困難となった時、患者・家族と話し合いを重ね、その後の医療や食事などについて方針を合意しておく。
栄養摂取については、主治医や歯科医、言語聴覚士ら複数の医師・専門家が誤嚥性肺炎などが凝われ「口から食べることが難しくなっている」と判断した時に実施。(1)胃ろうなどの経管栄養(2)胸の静脈に管を入れて高カロリー輸液を点滴する中心静脈栄養(3)人工栄養をしない−の選択肢があることを示して詳しく説明する。
胃ろうは、細い管を鼻から通すより、気道に食物が入り込む恐れがなくなるため、誤嚥性肺炎などのリスクは下がる。とはいえ、のどの神経や筋肉が正常に働きにくくなっているため、唾液(だえき)やたんも誤嚥性肺炎の原因となる。胃から栄養剤や胃液が逆流して誤嚥することもある。
こうした利点や欠点を伝えたうえで、選択肢別の平均余命も説明している。
同院で04年4月〜05年3月に同院で亡くなった患者155人(死亡時の平均年齢86・2歳)でみると、(1)経管栄養をつけてから、最後まで経管栄養だけの人は827日(2)中心静脈栄養では196日(3)人工栄養を選ばなかった人は、口から食べられる量が生命維持ぎりぎりになった時から60日だった。
峯廻攻守(みねまわりよしもり)院長は「患者・家族と医療者両方が納得して治療していくためにも、資料や科学的根拠を示すことが必要だ」と話す。
厚労省の「高齢者の医療の在り方検討委員会」調査報告書(07年)によると、患者・家族107人のうち27%が「手術前に受けた説明と違う」と感じていた。その理由を聞くと「再び口から食べられるようにならなかった」「合併症が少なくなかった」「介護負担が軽減できなかった」「栄養管理に手間がかかった」などが挙がった。
報告書は、胃ろうにしても嚥下訓練などを行うことや、手術前に術後の病状や看護・介護体制、家族負担についても十分説明する必要があると指摘する。
私の感想
この問題に関しては、私も以前より、種々のデータを提供してきました。
最近も、地元メディア(三重タイムズ)で以下のような報告をしました。
「脳血管障害を繰り返したり、アルツハイマー病が進行したりして食事を食べられなくなった高齢者の平均生存期間を調査した研究があります(東北大老年医学の佐々木英忠教授らの調査)。腕などの細い静脈から低カロリーの点滴を受けた人は2か月でしたが、鼻などからチューブで栄養補給(経管栄養)を受けた人の平均的な生存期間は1年11か月でした。」(平成19年12月7日付三重タイムズ第1052号・日々想々)
今回の報告では、『(1)経管栄養をつけてから、最後まで経管栄養だけの人は827日(2)中心静脈栄養では196日(3)人工栄養を選ばなかった人は、口から食べられる量が生命維持ぎりぎりになった時から60日だった。』ということですから、経管栄養を受けた方の平均余命は、1年11か月よりもやや長いと言うことになりますね。
あくまでも「平均」ですから、経管栄養の状況で数年以上寝たきりで過ごされる方も多々おられるのもまた一つの現状です。