イチョウ抽出物が痴呆患者の進行遅延・精神状態の安定に有効

 記憶・生活処理能力が安定!?


〔ニューヨーク〕

 ニューヨーク医学研究所(ニューョーク州タリータウンのPierre L.LeBars博士をリーダーとする研究チームは,イチョウ(Ginkgo biloba)の抽出物が,一部の高齢患者の痴呆の進行を遅らせるのに有効であることを明らかにし,その結果を『Journal of the American Medical Association』(JAMA,278:1327‐l332,1997)に報告した。

 

記憶・生活処理能力が安定

 アルツハイマー病,多発性脳梗寒,もしくはその両方による軽度から中等度の認識能力低下患者309例を対象とした研究で,イチョウ抽出物(EGb761)によって、患者の記憶機能や日常活動の処理能力が安定し,一部の患者では改善されるらしいことが認められた。

 EGbのl20mg錠剤を毎日1錠,最低26週以上投与した患者のうち27%が, アルツハイマー病評価スケール・認知能力サブスケール(ADAS‐Cog)で評価して,集中力の改善(病気の進行の6か月の遅れに相当)を示した。プラセボ・グループでは,この割合がl4%にすぎなかった。

 また,近親者評価インストルメント(GERRI)による老人医学的評価では,EGb投与グループでは37%が日常生活機能の若干の回復を示したが,プラセボ・グループでは23%だった。さらに,病状の悪化を示した患者はプラセボ患者で2倍に達した。

 EGbは抗酸化剤として働き,アルッハイマー病で見られる細胞傷害の原因と考えられているフリーラジカルを除去するもの,とLeBars博士らは考えている。

 セントルイス大学老人精神科学科主任のGeorge T.Grossberg博士は,この研究を「きわめて興味深いもの」と評し,「イチョウの抽出物は人々の人生の質を高め機能的に動ける時間をより長くし,少なくとも6か月は施設外で生活を続けることを可能にするかもしれない。またこれは,きわめて良性の物質であるように思われる。研究で,患者が報告した副作用の件数は,EGb投与グループでもプラセボ投与・グループでも変わらなかった」と述べた。

 また,マウント・サイナイ医療センター(ニューヨーク)国際長寿センターのRobert N. Butler所長は「何世紀も昔から使われてきたこの抽出物の将来の使用について,われわれはもっとオープンな心を持つことが必要だ。今日,「市販されているすべての医薬品の約4分の1はなんらかの植物に由来する。ほとんど何も分かっていないようなものを健康食品店で大量に市販するわけにはいかないため,この種の研究を行うことがきわめて重要であるのは言うまでもない」と述べている。 

(参考文献:Medical Tribune 平成10年2月12日号 p2)

 

私の感想

 注目していただきたいのは、「患者のうち27%が, アルツハイマー病評価スケールで評価して,集中力の改善(病気の進行の6か月の遅れに相当)を示した。プラセボ(偽薬)・グループでは,この割合がl4%にすぎなかった。」の部分です。

 アルツハイマー病でいろいろ効果があると評価されている薬がいくつかあるのですが、いずれも「進行を6ヶ月程度遅らせる」ことが精一杯という報告が多いのですね。この現状もよ〜くご理解下さい。

 また偽薬ですら14%も効果があったということにも注目しなければなりません。したがって「効果があった」と評判の薬があったとしても、何%位効果があったのかということをきちんと見極めなければなりません。20%弱の効果ではそれが暗示による効果である可能性があるからです。

 

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