アルツハイマー病

 タバコを吸っているとボケない!?


P273〜274:ポケ防止一タパコを吸つているとポケないのは本当らしい?

「百害あって一理なし」のレッテルを貼られて久しいタバコ。本人が肺ガンになるだけならまだしも、周囲の人間の健康にも悪影響を与えるとして、日増しに迫害の度合いは強まっている。しかし、この忌まわしいタバコが、痴呆の防止に役立つというデータも、たしかに発表されているのだ。

 痴呆のなかでも脳卒中などをべースに起こる脳血管性痴呆は、高血圧など脳卒中の危険因子を除くことで明らかに減ることがわかっている。問題は、アルツハイマー型痴呆のほうだ。最近、発病のメカニズムが少しずつわかってきたとはいえ、科学的に立証された予防・治療手段はない。ボクシングや事故などで頭部に大きなケガをすると、アルソハイマー型痴呆になりやすいことはどの調査でも認められているが、あとは闇の中だ。そこで、世界で発病の危険因子をつきとめる調査がさかんに行なわれている。

 そんななかで出てきたのが、喫煙者はアルツハイマー型痴呆になりにくいというデータなのだ。すでに1981年ごろから、そういう説を唱える学者はいたが、本当に世界の研究者が注目したのは、アメリカのグレーブスたちが国際的共同研究の結果を発表してからだ。そのなかでグレープスは、喫煙者がアルツハイマー型痴呆になる危険率は、タバコを吸わない人より22%も少ないと報告した。しかも、喫煙量の多い人ほど危険率は低くなるという。さらにイギリスのリーは、これまでの研究報告をまとめて分析した結果、喫煙者が痴呆にかかるリスクは非喫煙者より31%ほど低下すると発表している。この場合も、喫煙本数が多いほど、また一箱以上吸う人のほうがリスクは低いという結果になっている。

喫煙するタバコの本数とアルツハイマー病の危険率

1日の本数

相対危険率

0 本

1

1〜10 本

0.9

11〜20 本

0.8

21 本以上

0.52

引用文献:A.Hofman 1990

 では、なぜタバコがアルツハイマー型痴呆の発生を防ぐのだろうか。このメカニズムはわかっていないが、主に唱えられているのがニコチン説だ。アルツハイマー型痴呆になると、前脳基底核という部分にあるマイネルトの神経核など、いくつかの部位で著しく神経細胞が減少することがわかっている。それと同時にアセチルコリンという神経伝達物質を受け取るるニコチン性受容体も減少してくる。

 神経伝達物質というのは、ひとつの神経から次の神経に指令を伝える伝令のようなものだ。アセチルコリンの場合は、副交感神経の末端から分泌されて、さまざまな情報を伝えている。これを受け取る受容体には二種類あるのだが、そのひとつが二コチンに反応するニコチン性受容体なのだ。アルツハイマー型痴呆では、この受容体が減少し、神経の伝達系統に支障をきたしているらしいのだ。だから、二コチンを補給していれば少ない受容体でも情報伝達ができるのではないか、というのがその根拠。また、ニコチンは記憶に関係する海馬に作用して記憶力を高めたり、精神的にリラックスさせる効果があるのではないか、ともいわれている。タバコ好きにとっては、少しホッとする話だ。

 しかし、これはあくまでも仮説で、専門家の間では喫煙がアルツハイマーのリスクを減少させるという説に疑問をもつ人が多いこともつけ加えておく。しかし、考えてみれば、喫煙で「肺ガンになる」「心筋梗塞になる」といっても、100%の確率ではない。「趣味はタバコ」という高齢者もいっばいいる。最近では分子生物学が進んで、タバコで肺ガンになる人はもともとタバコに対して強い感受性があるのではないか、ともいわれている。

 つまり、遺伝的にそういう感受性をもっていない人は、タバコを吸っても肺ガンにはならないというわけだ。結局、何を楽しんで生きるかは、その人の選択の問題だ。節制に節制を重ねたからといって、確実に元気で長生きできるわけでもない。世の風潮に流されるより、自分がどう生きたいかを考えて判断すべきということだろう。 

(参考文献:平成10年 別冊宝島389)

 

私の感想

 上記の情報以外に、P178〜179:今日食べた食事はいつウンチになるのだろう? 答え:平均すると一日半程度 など、

 今回発売の別冊宝島389「カラダの不思議を愉しむ本!」は、日常感じるいろんな医学的疑問点に答えてくれる良い本です。私もいろいろためになりました。

 

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