介護費用は年10万円増加?!
ドネペジル(商品名アリセプト)が、アルツハイマー病の進行に対してプラセボを上回る効果を示さないことが、二重盲検RCT、AD2000の結果から明らかになった。Lancet誌6月24日号で発表された(2004;363:2105-2114.)。
対象は、アルツハイマー病と診断された患者565人。まず、ドネペジル群282人、プラセボ群283人にランダムに割り付け、試行期間として12週間投与した。さらに、脱落者を除いた486人を、ドネペジル群242人とプラセボ群244人に再度割り付け、2年間追跡した。1次エンドポイントは、施設への入所とBADLS(Bristol activities of daily living scale;60点満点)で評価した日常生活障害の進行など。患者の平均年齢はドネペジル群76歳、プラセボ群75歳。背景に有意差はなかった。
その結果、3年後の施設入所率はドネペジル群が42%、プラセボ群が44%で、有意差は見られなかった。3年後の障害の進行にも、有意差はなかった。また、1年間に患者にかかる介護費用として、ドネペジル群は2842ポンド(約55万1000円)で、プラセボ群の2334ポンド(約45万5000円)より約10万円高かった。
以上の結果から、著者らはドネペジルの費用対効果が良くないと指摘したが、ドネペジルの製造元であるエーザイは、「1万5000人に上る臨床試験で、アルツハイマー病による障害進行、施設入所の抑制効果を確認している。AD2000は、参加人数が565人と、当初計画されていた年間3000人よりかなり少なくなり、ドネペジルの効果を正確に評価できない」と反論している。
私の感想
このような視点(=アリセプトの介護費用に及ぼす効果)は、以前にも紹介され、その際には、「介護費用を軽減する」という結果でしたので、私は感想として、「仮に入所を遅らせて介護費用を先送りしても、いずれは必要になる費用だから、それは軽減とは言えない」という意見を述べました。
介護費用が安くなるからという理由でアリセプトを服用している方・ご家族はほとんどいないと思います。ほとんどの方が、「進行抑制効果」を期待して服用しているのが実情です。ですから一番の問題は、『3年後の障害の進行にも、有意差はなかった。』という記載ですね。『9か月の進行抑制効果』というデータとの整合性がとれなくなりますね。この部分は徹底的に議論を尽くして頂きたいですね。