副作用少ないワクチン開発

 

 アルツハイマー病の治療に道!


 根本的な治療法がない痴ほう症のアルツハイマー病で、遺伝子治療の技術を用いて副作用の少ないワクチンを開発したと、国立療養所中部病院長寿医療研究センター(愛知県大府市)が十六日明らかにした。アルツハイマー病の根本的な治療に道を開く可能性もあると期待され、十八日から名古屋市で開かれる日本基礎老化学会で発表する。

 アルツハイマー病は脳の神経細胞が失われる神経変性疾患で、脳に老人斑が現れるのが原因と考えられている。老人斑はベータ・アミロイドと呼ばれるタンパク質で、脳細胞に沈着すると脳機能を低下させ、痴ほう症を引き起こす。

 ワクチンは同センターの田平武センター長と原英夫研究員の研究チームが遺伝子治療の技術を用いて開発。無害のウイルス粒子に、ベータ・アミロイドの遺伝子を組み込んだ。

 患者に経口投与すると、十二指腸などの消化管粘膜上皮細胞でベータ・アミロイドが生産される。体内で免疫反応が起き、作られた抗体が脳に移ってベータ・アミロイドの沈着を防ぐとともに、沈着したものを除去する仕組み。

 四十五週のアルツハイマー病モデルマウス実験で、一回投与しただけで十一週後にベータ・アミロイドの沈着が顕著に減少し、副作用は見られなかった。また、投与してから六カ月後も効果が持続することが確認された。

 アルツハイマー病のワクチン治療は一九九九年に米国の製薬会社がベータ・アミロイドに似せた合成タンパク質を主成分とするワクチンを世界で初めて開発。しかし、臨床実験で三百八十人のうち十五人が副作用で脳炎を発症し、中止された。

 同センターでは、脳症を誘発したとされる免疫増強剤を使わないワクチン開発を進めていた。今後は、サルの実験などを重ねてデータを集め、来春にも臨床実験に入りたい考え。

 田平センター長は「これまで治療法がなかったアルツハイマー病の根本的な治療法が確立され、応用される日も近いだろう」と話した。

 

■岩坪威・東大大学院薬学系研究科教授の話 

 遺伝子ワクチンという新しい試みで、副作用が見られず、かつ有効なベータ・アミロイド抗体が体内に作られるという非常に有意義な結果だ。有効な治療法への可能性が広がった。 

(平成15年6月16日 中日新聞)

 

6月16日・朝日新聞は、下記のように伝えております。

 

アルツハイマー:新ワクチン開発

 マウスから老人斑消える

 

 老人の痴呆(ちほう)の原因になるアルツハイマー病を治療する新しいワクチンを、国立療養所中部病院長寿医療研究センター(愛知県大府市)が開発した。日本では65歳以上の7%が痴呆の症状を示し、うち約半分はアルツハイマー病が原因といわれており、治療の切り札として期待される。18日から名古屋市で開かれる日本老年学会で発表する。

 アルツハイマー病は、脳にベータアミロイドという独特のたんぱく質がたまり、大脳皮質などに老人斑を形成する。

 同センターの原英夫研究員らは、ベータアミロイドを作るDNAを、人体には無害のウイルスに組み込み、ワクチンに仕立てた。これを患者が飲むと、腸の細胞でベータアミロイドが作られる。ここで免疫反応が引き起こされて、体内でベータアミロイドを攻撃する抗体が作られるようになるため、脳でも集積できなくなる仕組みだ。

 欧米で研究されているのは、ベータアミロイドを皮下注射するワクチン。注射する方法では、抗体を作る反応とは別に、副作用を起こすTリンパ球の反応を引き起こすのが難点だった。原さんらの飲む方法では、Tリンパ球が反応しないため、副作用が抑えられるという。

 原さんらは、ベータアミロイドが脳にたまるように遺伝子操作したマウスを使って実験。ワクチンを与えたマウスは形成されるはずの老人斑が消えていた。迷路を使った実験で、ワクチンを与えたマウスの方が知能が良い傾向もわかった。

 ワクチンの開発は、欧米で先行し、患者への臨床試験も始まっていたが、副作用とみられる脳炎が報告されたため、昨年中止されていた。

 しかし、欧米で開発されたワクチンで抗体ができた患者は、老人斑が消えたり、痴呆の進行が遅くなったりすることが確かめられたため、副作用の少ないワクチンの開発が待ち望まれていた。

 田平武・長寿医療研究センター長は「ワクチンがこの病気の治療のもっとも早道になるだろう。サルを使った実験の後、来年にも人での臨床試験に取り組みたい」と話している。

 

私の感想

 ワクチン療法が中止されたニュースは下記に記載しております。

 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/AlzWakutin0204NM.shtml

 

 とても期待されている治療方法ですので、臨床試験を経て実用がされると良いですね。

 

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