アルツハイマー病「ワクチン療法」の臨床試験始まる(米・英)

 

 生後6週間から投与したマウスではベータ・アミロイドの産生を防ぎ、生後1年から投与したマウスではベータ・アミロイドが消退する

 「ワクチン療法」の効果の判定には多くの年数を要する


 アルツハイマー病の成り立ちには、さまざまな物質が関係しています。この物質としてベータ・アミロイド、タウ、アポE4などの蛋白質があります。このうちベータ・アミロイドは、脳の神経細胞を破壊する物質として、アルツハイマー病の脳に見られる老人斑に関係が深いと言われてきました。このベータ・アミロイドの産生を抑えることで、アルツハイマー病を治療し、予防しようとする人への臨床試験がアメリカとイギリスで始められました。

 アメリカ・サンフランシスコのエラン製薬(本社はアイルランドにあるエラン社)のシェンクらは、遺伝子組み替えによって脳にベータ・アミロイドを蓄積しやすいアルツハイマー病に似たマウスに、ベータ・アミロイドに対して、免疫系を介して抗体を産生するように働く合成物質AN1792(ワクチン)を投与しました。生後6週間から投与したマウスではベータ・アミロイドの産生を防ぎ、生後1年から投与したマウスではベータ・アミロイドが消退するという結果を、1999年7月8日発行の世界的な科学雑誌「ネーチヤー」で報告しました。

 さらにアメリカの南フロリダ大学のモーガンらは、上記のベータ・アミロイドを蓄積しやすいアルツハイマー病に似たマウスに対して、AN1792を投与したグループの方が、投与しなかったグルーより記憶障害が少なかったという結果を同じ「ネーチヤー」の2000年12月21日号で報告しました。

 エラン製薬は、2000年春からアメリカとイギリスで人に対する第1相臨床試験を始め、その中間報告としてワクチンの人への安全性は確かめられたと、昨年7月にアメリカ・ワシントンDCで開催された世界アルツハイマー会議でシェンクらが報告しました。

 アルツハイマー病の治療は、現在アリセプトなど脳のなかで欠乏した神経伝達物質を補う薬物療法しかありませんが、このワクチン療法はアルツハイマー病の病気の成り立ちに関わる治療と予防を兼ね備えた画期的な可能性を持っています。しかし人工的に作られたベータ・アミロイドを蓄積しやすいマウスは人のアルツハイマー病の状態の一部に過ぎず、アルツハイマー病の原因やその病気の成り立ちにはベータ・アミロイドのほかに多くの因子が関わっており、ワクチンのみでアルツハイマー病の治療や予防が可能なのか疑問視する人もあり、また「ワクチン療法」の効果の判定には多くの年数を要すると言われています。

 「ワクチン療法」について詳しくは以下のホームページ(英文)をご覧ください。

 

エラン社

 http://www.elan.ie/home/

 

(2001年4月25日発行、「老人をかかえて」・通巻249号 編集委員:三宅貴夫 より)

(参考文献:平成13年5月15日 アップロード)

 

私の感想 

 なかなか新情報が入ってこない、アルツハイマー病の「ワクチン療法」に関する記載を久しぶりに目に致しましたので紹介いたしました。

 「臨床試験」がヒトでも始まったという情報だけで、有用性に関する情報はまだまだ先になりそうですね。

 

過去のバックナンバー

  ワクチン療法

 

ご意見はこちらまで

ホームへ戻る