サプリメントでは効果認められず!
アポEとの関連性を指摘!
〔米メリーランド州ベセズダ〕
ラッシュ長老派教会聖ルカ医療センター・ラッシュ加齢研究所(シカゴ)のMartha Clare Morris,Denis A.Evansの両博士らは,地域住民を対象にした抗酸化物質についての研究から,ビタミンEを含む食品を豊富に摂取すると,特定のグループでアルツハイマー病(AD)を予防できる可能性があることを見出し,JAMA(287:3230−3237)に発表した。一方,ビタミンEのサプリメント摂取とADリスクの減少には相関性が認められないという知見も得られた。ビタミンEなどの抗酸化物質が認知機能の低下とADを予防または遅延する効果を調べる臨床試験が進行中で,ビタミンEと痴呆に関する一連の報告の最新のものであるこの知見は,臨床試験のアウトカムへの関心を高めている。
勧められないサプリメント
(冒頭省略)
NIA老年痴呆部門のNeil Buckholtz部長は「この研究をはじめ,複数の重要な人口調査から,ビタミンEが認知低下と痴呆に伴う酸化的損傷などの機序を予防する可能性が指摘されている」と述べ,「この相関性を実際に試すことができる方法は現在進行中の臨床試験だけである。試験が終了すれば,食物中のビタミンE,ビタミンEサプリメント,食物とサプリメントの両方摂取のうちどれが,軽度の認知障害やADの発症を予防または遅延するかが判断できるだろう」と付け加えた。
同部長は「現段階の知見によると,知能低下を防ぐ目的で高用量のビタミンEサプリメントや抗酸化薬を服用することは勧められない」と指摘する。地域住民をベースにした研究や動物実験から,抗酸化物質は神経保護作用を持つ可能性が示唆されているが,それを証明する臨床試験が現在進行中である。
神経保護の目的で服用されている種々の抗酸化サプリメントの安全性,有効性,用量についてはほとんどわかっていない。例えば,非常に高用量(2000 IU/日)のビタミンEを摂取した場合,出血リスクとの関連性が指摘されており,抗凝固薬を服用している患者は特にリスクが高い。
また,一般に高齢者が服用していることが多い他の医薬品とビタミンE製剤の相互作用も懸念される。同部長は,高用量のビタミンE製剤や抗酸化サプリメントを摂取する場合は主治医と相談すべきだと警告している。
アポEとの関連性を指摘
(冒頭省略)
また,年齢,性,人種,教育,ADの遺伝的リスクが結果に影響しているかどうかについてデータを分析した結果,遅発型AD発症リスクの増大と関連していると見られているアポリポ蛋白E(アポE)e4アレルの有無だけが,データに影響していることが判明した。食物に含まれるビタミンEが持つAD予防効果は,アポEe4アレルを持たないグループで最も高いことがわかった。同博士は「食品中のビタミンEはADを予防する可能性があるが,この作用はアポEe4アレルを持たない人にだけ働くことが考えられる」と指摘している。
サプリメント無効に複数の要因
今回の研究では,食品から択取するビタミンEとサプリメントから摂取するビタミンEのAD予防効果に著しい違いが認められたが,この違いおよびアポEとの関連性など,今回得られた知見を確認して解釈するためには,きらなる研究が必要であるという。
サプリメントに予防効果が認められなかった理由として,Morris博士はいくつかの要因を挙げている。例えば,一部の被験者は最近になってサプリメントを摂取し始めたため,効果が出るには時間が足りなかったのかもしれないとしている。また,記憶力に問題があると感じた人は,まずサプリメントを摂取する可能性が高いと思われる。
また別の解釈としては,摂取されたビタミンEの型が異なる点が指摘されている。大部分のビタミンEサプリメントの成分はαトコフェロールであるが,食品では一般的にγトコフェロールのほうが多く含まれている。これらの成分はそれぞれ異なるタイプのフリーラジカルを除去するが,認知機能の低下リスクを小さくするためには,γトコフェロールのほうが重要である可能性が指摘されている。
私の感想
「サプリメントでは効果認められず」、「γトコフェロールのほうが重要である可能性」、「食品中のビタミンEはADを予防する可能性があるが,この作用はアポEe4アレルを持たない人にだけ働くことが考えられる」という記事は、かなり刺激的な記事内容でした。
というのも、採血危険因子(アポE4陽性)の方には、アルツハイマー病予防のためにビタミンE(ユベラニコチネート)製剤の摂取をsuggestしてきたのですが、「γトコフェロールのほうが重要」&「アポE4陰性の人にだけ有用」であるとなってくると、ユベラニコチネートの服用(予防的服用)は意義が少ないと言うことになってくるからなのです。
いずれにしても、「この相関性を実際に試すことができる方法は現在進行中の臨床試験だけである。試験が終了すれば,食物中のビタミンE,ビタミンEサプリメント,食物とサプリメントの両方摂取のうちどれが,軽度の認知障害やADの発症を予防または遅延するかが判断できるだろう」という文章が、現状でのまとめになるのだと思います。
関連情報(ビタミンE豆知識)