ビタミンE!
進行遅延に具体的効果!
許容上限摂取量、日本では少なく!
(羽雁 渉)
アルツハイマー病の発症には過酸化脂質が関係し、その蓄積が神経細胞膜の破壊につながっていくと想定されている。また、アルツハイマー病患者の脳には無数の老人斑(はん)があり、そこにベータ・アミロイドと呼ばれるタンパク質が粘着し、神経細胞が死んだ状態になっている。ビタミンEは培養細胞でこのべータ.アミロイドの毒性による細胞死を抑えるとされている。
サノ博士は、ビタミンEがアルツハイマー病の症状進行を遅らせることを明らかにするために次のような試験を行った。
在宅で生活している中程度症状の患者三百四十一人に、二年間にわたって異なるタイプの薬を投与、アルツハイマーの進行遅延の程度を調べた。
使ったのはパーキンソン病の治療に用いるセレジリン(一日十mg)、ビタミンE(一日千三百三十mg)、セレジリンとビタミンE併用、偽薬の四種類。偽薬を投与したグループと比較したところ、ビタミンEのグループが一番効果があった。
さらに、患者が施設に入居するまでの期間をどのぐらい遅らせることができるのかを調べたところ、ビタミンE群が百五十五日、セレジリン群が百五日という結果が出た。また、両者の併用群は六十日で、併用のメリットはみられなかった。この結果をもとに、サノ博士は「病態の悪化とともに日常生活活動(ADL)の低下を遅らせる効果はあった」と語った。ただし、認知機能の改善といった面では効果は認められなかった、としている。
そのうえで、サノ博士 は「アメリカでは、アルツハイマー病の患者には必ずといっていいほどビタミンEのサプリメント(栄養補助食品)を使うょうに医師が勧告している」と現状を報告した。健康状態が良い場合は約千八百mg、ほかに合併症がある場合は七百二十〜三百六十mgぐらいの量を出しているという。
一方、日本の場合を見ると、栄養所要量は成人男性が十mg、女性が八mg、許容上限摂取量は六百mgとされており、日米間には大きな開きがある。米国に比べ、サプリメントを取る習慣が薄いことが理由として考えられるが、アルツハイマー病の進行抑制に一定の効果がある可能性が強まったことで、今後、高齢者らにどう摂取量を増やしてもらうか課題になりそうだ。
脚注
ビタミンE:化学名はトコフェロール。8種類あるビタミンEの中でα(アルファ)型が生体内での生理活性の効力が最も強いといわれる。植物油(ひまわり油、コーン油など)やアーモンド、玄米、マグロの脂身、かツオ、カボチャなどに多く含まれる。
私の感想
今までは「併用」療法が有用視されていましたが、「併用のメリットはみられなかった」ということで、ビタミンEへの期待がますます高まりそうですね。
ビタミンEは日本国内では、高血圧・高脂血症などの患者さんなどに使用されております(使用上限量は日本では、600mgです。商品名:ユベラニコチネートなど)。
私も高血圧・高脂血症を患っているアルツハイマー病の患者さんには、積極的にビタミンE600mgを併用使用し、進行予防に留意しております。