アルツハイマー病患者は運転ミスを犯しがち

 

 家族は月1回以上の同乗を!


〔米ミネソタ州セントポール〕

 アイオワ大学(アイオワ州アイオワシティー)神経学科のMatthew Rizzo教授は,軽度アルツハイマー病(AD)患者の運転技能を調査した結果,対照とした認知障害のない高齢者に比べて安全性に問題があると,米国神経学会のNeurology(2004;63:832−837)に発表した。

 

制限付き免許の検討も必要

 今回の研究では軽度AD患者32例と,認知障害のない対照群136例に路上試験を行った。AD患者には,本人や家族の希望で運転を辞退する者もいた。路上試験は口頭による進行指示に従う「課題運転」と,「自由運転」から成る45分間の運転を評価する内容であった。

 AD群は対照群と比べて,課題運転の際にミスを犯しがちだった。課題運転中に,右左折のミスを1回以上犯したのは,対照群の約20%に対してAD患者では70%以上だった。

また,同様に不安定な運転や路肩に乗り上げるなど安全運転のミスを2項目以上犯した割合も,対照群の約20%に村し,AD患者では70%近くに達した。安全運転に関する両群間の技能格差は,自由運転よりも課題運転で目立った。

 Rizzo教授は「AD患者における基本的運転技能には差が認められなかったことから,口頭による指示に従い新規ルートを運転することは認知能力への負荷につながり,運転技能を損なうことになりかねない」と述べている。

 AD患者でも,試験が行われた地区に通じている人は道に迷うことがなく,その地区に不慣れな人は迷いがちだった。

 

安全運転者には通常の免許を

 Rizzo教授は「初期AD患者は,新規ルートの学習に苦労するかもしれないが,慣れた道路では正確に運転した。したがって,軽度AD患者に対する運転免許証の交付は,通い慣れた近隣での運転のみに限定することが適切だと考えられる」と述べている。

 さらに,AD患者のなかには運転ミスをしたり,道に迷ったりせず,安全に運転したケースもあったことから,同教授は「軽度AD患者でも正常な運転ができる人には,通常の運転免許が認められるべさだ」としている。

 この調査の結果,軽度の認知障害患者の運転技能試験には,記憶力と注意力をテストする課題を含むべきだという結論に達した。

 今回の研究について,マサチユーセッツ大学(マサチユーセッツ州ウースター)神経学科のDavid Drachman博士は,運転技能を試験するには路上試験が最適なことを認めており,「軽度AD患者が安全に運転できるのであれば,その人の家族には月1回以上の同乗を勧めたい。その結果,同乗者に危険を感じさせるようなことがあれば,その後の運転を控える目安となる」とコメントしている。

(平成16年11月4日号 Medical Tribune P35)

 

私の感想

 締め言葉の『軽度AD患者が安全に運転できるのであれば,その人の家族には月1回以上の同乗を勧めたい。その結果,同乗者に危険を感じさせるようなことがあれば,その後の運転を控える目安となる』に尽きるのだと思います。

 アルツハイマー病患者さんの運転の是非に関しては、いろいろ議論されてきましたが、今回の論文で一つの方向性が示されたように思いますね。

 

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