コリンエステラーゼ抑制物質治療はAlzheimer病の自然経過を変化させる

 

 placeboを対照としたところ,1年以上の効果が続くとの研究もある!


Cholinesterase inhibitor treatment alters the natural history of AIzheimer’s disease /OL Lopez,JT Becker,S Wisniewski,J Saxton,DI Kaufer,ST DeKosky/J NeuroI Neurosurg Psychiatry 72:310−314,2002

 

 コリン作動性物質はAlzheimer病(AD)治療の第一のものであり,Cholinesterase inhibitor(CEIs)は合衆国のFDAにより最初のADの治療薬として承認された。CEIsはplaceboを対照とした調査で12,24,30週投与で臨床症状の進行を遅くすることが認められているが,1年投与で効果を認めなかった報告もある。さらにplaceboを対照としたところ,1年以上の効果が続くとの研究もある。CEIsの長期的効果についてはよく知られていない。CEIs投与は自然経過を変えることを示唆する2,3の研究があり,たとえばtacrineの当用量(>80mg/日),30週投与の二重盲検試験で,低用量投与に比し,2年後のナーシングホーム入所例がより少なかったとの報告もある。本剤投与は最初に診察した医師が行うことから長期的効果についての情報が必要である。

 本研究では,Pittsburgh大学AD研究センター登録のprobable ADで,CEIs(主としてdonepezil,一部tacrineおよびriastigmine)投与を受けているprobable AD135例とCEIsを投与したことのない,年齢,教育歴,罹病期間,認識能程度をマッチさせたprobable AD135例を対照とし,平均36.7±21.5カ月(約3年)にわたり経過観察し比較した。評価は,1年後の認識能(MMSE≦9),生活機能(Blessed Dementia Rating Scale of daily living≧12),ナーシングホーム入所,死亡の4つをendpointとして行った。CEIs投与例では1年後の認識能および生活機能は対照に比し良好であった。非投与例ではMMSEのスコアは年に3〜4点低下すると考えられているが,投与例で2.5点と有意に低かった。しかし,最終的には認識能,生活機能,死亡については両群間に有意差はなかった。ただ,3年の経過中,非投与群では40%以上の症例がナーシングホームに入所したのに対し,投与群ではわずか6%に過ぎなかった

(浴風会病院 大友英一)

(脳神経・54巻7号 海外文献抄録)

 

私の感想

 『placeboを対照としたところ,1年以上の効果が続くとの研究もある』という部分が一番興味深い部分ですね。

 長期投薬の効果に関しては、今後も引き続き調査が必要と思われます。

 

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