観察リストで模擬診断!
告知の仕方や家族ケア学ぶ!
かかりつけ医が痴呆症と認識していたのはわずか27%!
痴呆症の高齢者は現在の150万人から、2015年には250万人に増えると推定されている。症状を改善したり、進行を遅らせたりする薬が開発されていて、できるだけ早く診断して治療することが重要になっているが、医師の知識が乏しいためにチャンスを逃してしまうことも少なくない。このため、日ごろから高齢者を診る機会が多い地域のかかりつけ医に診断の研修を受けてもらい、早期発見につなげようという試みが始まっている。
(石井暖子)
観察リストで模擬診断 研修広がる
10月に盛岡市で開かれたかかりつけ医向けの初級研修会には35人が参加した。参加者の1人が、12項目の「初期痴呆症徴候観察リスト」=表=をもとに、痴呆の兆候があるかを判断する“模擬診断に挑戦した。患者役は専門医の指導を受けた劇団所属の役者が務めた。

告知の仕方や家族ケア学ぶ
東京都老人総合研究所痴呆介入研究グループの本間昭・参事研究員らも、厚生労働省の補助を受けて7月から全国8カ所で同様の研修会を開いている。講義は全4回。最終回のテーマには、本人や家族に病気についてどう告知するべきかも盛り込まれている。
12日に広島県尾道市で開かれた研修会。60人の医師が病状をどう話すかについて、ビデオなどを使って具体的な説明を受けた。
診断結果を伝えることは大事だが、本人が強い不安を抱いている場合や痴呆症の可能性を考えていない場合は「痴呆の疑いがある」「アルツハイマー病の可能性がある」と段階を踏んで説明し、本人や家族との信頼関係を築いたうえで診断結果を告げることが望ましいという。
告知後のフォローも重要で、次の診察では「前回の説明はわかりましたか」「ショックを受けたのではないか、と心配していたんですよ」などと声をかけるようにする。
負担軽減や権利擁護に利点
痴呆症は、精神科や神経科、もの忘れ外来などで専門医の診察を受けることができるが、数はまだ少なく、早期発見のためには、患者や家族が相談しやすく、変化に気づきやすいかかりつけ医の役割が重要だ。
しかし、痴呆症に関する知識はまだ広がっているとはいえない。本間さんらが、東京都の委託で65歳以上の高齢者149万人の中から無作為に約5千人を抽出して調査したところ、専門医に痴呆症と診断された123人のうち、かかりつけ医が痴呆症と認識していたのは27%だった。
また、痴呆症高齢者の家族など介護者(有効回答331人)を対象にした本間さんの調査では、受診時にかかりつけ医から「病気ではなく年のせいだ」「治らない病気だから」などと言われた経験のある人が28%いた。
早期発見で効果的な治療が行われ、症状が改善したり、進行が遅れたりすれば、家族の負担が減るだけでなく、適切なケアプランを組むことができ、治療や財産管理などに関して本人の意思を代弁する後見人をおく成年後見制度の手続きも早めにできるなど、医療面以外のメリットも多い。
私の感想
(1)『専門医に痴呆症と診断された123人のうち、かかりつけ医が痴呆症と認識していたのは27%だった』、(2)『受診時にかかりつけ医から「病気ではなく年のせいだ」「治らない病気だから」などと言われた経験のある人が28%いた』という大変興味深いデータが紹介されましたね。
私も外来診療の場で、(2)に関する話はよく聞きます。しかも「治らない病気だから」という話は、決してかかりつけ医からだけ言われるのではなく、痴呆症診療に深く携わっている精神科医などからも家族がよく受ける言葉なんです。
これらを、決して「ドクハラ」という一言で片づけるのは危険だと思います。
確かにアルツハイマー病は、アリセプト内服により「進行を9か月程度遅らせる」ことは可能ですが、「不治の病(=進行性疾患)」であることには今でも変わりはないはずです(ワクチン療法の成果が確認されるまでは?!)。したがって「治らない病気」という表現は、現状では決して間違いではないと思われます。「進行性」の有無は、アルツハイマー病の重要な診断基準の一つになっていることを否定してはいけないと思います。
『告知後のフォローも重要で、次の診察では「前回の説明はわかりましたか」「ショックを受けたのではないか、と心配していたんですよ」などと声をかけるようにする』の部分に関しては少々疑問を感じますね。次回の診察時の2〜4週後まで告知されたことを覚えていると言うことは相当判断力などが保たれていますから、アルツハイマー病ではなく軽度認知障害(MCI)の可能性の方が高いのではないかと思われます。