適度の飲酒で高齢女性の認知機能向上

 

 1日2杯以下でMMSEスコアが上昇!


 コロンビア大学(ニューヨーク)神経科のClinton Wright助教授らは,ニューヨーク市民を対象として現在研究中の中間所見により,1日2杯以下の飲酒は高齢女性の認知機能を向上させることを発見したと,Stroke(2006;37:1160-1164)に発表した。

〔米テキサス州ダラス〕

 

 この研究は,北部マンハッタン研究の一環として行われた。被験者は,無作為に選択した電話番号により募集するRandom Digit Dialing(RDD)方式で抽出された北部マンハッタン在住の脳卒中既往歴のない3,298例。今回の中間所見は,飲酒と頚動脈プラークに関する情報が得られた2,215例を対象とした。平均年齢は69歳で,54%がヒスパニック系,25%がアフリカ系,21%が白人であった。

 飲酒量は問診で評価し,頚動脈プラークの有無と大きさを頚動脈超音波検査で測定した。被験者は飲酒量に応じて,(1)全く飲まない(509例)、(2)過去に飲酒したが現在は禁酒(494例)、(3)ほとんど飲まない(週に1杯未満と定義,300例)、(4)中等度(週に1杯〜1日2杯以下,796例)、(5)1日2杯超(116例)−の5群に分類した。

 その結果,1日2杯以下の飲酒をする女性は,全く飲酒しない女性や週に1杯未満の女性に比べ認知機能の検査であるMini-Mental State Examination(MMSE)のスコアが約20%高く、この差は収入、結婚状態、人種・民族、高血圧や心疾患などの心血管危険因子について補正した後も認められた。

(中略)

 今回は男性の認知機能と飲酒との間に関連が認められなかったが,この結果はサンプル数によるものと考えられた。飲酒しない男性はごく少数であるため,男性における影響を検出することは不可能であった。

(中略)

 米国心臓協会(AHA)は,飲酒は中等度,つまり男性では1日2杯以下,女性では1日1杯以下にとどめるよう推奨している。1杯とは,ビールであれば330mL,ワインは120mL,アルコール度が40度の飲料は45mL,50度の飲料は30mLを指す。

 AHAは,これまで飲酒していない人が,健康増進を目的として飲酒を始めることは推奨していない。飲酒はアルコール依存症,高血圧,肥満,脳卒中,乳癌,自殺や事故リスクを高める。また,アルコール依存症に陥りやすい人をあらかじめ特定することはできない。中等度の飲酒の利点・欠点については,医師に相談するよう勧めている。

(Medical Tribune 2006年5月25日号 P5)

 

私の感想

 『ヒトの大脳皮質には、約140億個の神経細胞がある。神経細胞は20歳を過ぎると、1日およそ10万個死滅する。ビールをコップ一杯飲むと100個の神経細胞が死ぬと推測されていますので、1日に10万100個死滅することになる。』というような説が以前よりありました。

 また多量飲酒者には「アルコール性脳萎縮」などが起こりやすいことも指摘されておりました。

 とかくマイナス面のイメージが強かったのですが、今回の報告は「少量なら・・」という結果で少々意外な結果でしたので、ご紹介いたしました。

 

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