NSAIDはアルツハイマー病に効果ない

 

 炎症説は興味深い仮説であるが,証明できていない!


〔スウェーデン・ストックホルム〕

 ジョージタウン大学医療センター(ワシントンD.C.)神経学のPaul Aisen教授らは,多施設試験の結果から,選択的あるいは非選択的な非ステロイド抗炎症薬(NSAID)は,確立されたアルツハイマー病(AD)の治療に効果を示さないことがわかったと,第8回アルツハイマー病および関連障害に関する国際会議(IADRD)で発表した。

 

認知機能,QOLなどに他薬と差ない

 試験では,軽度ないし中等度のAD患者を標準的な治療に加えて,ナプロキセン200mg1日2回投与群(118例),rofecoxib 25mg1日1回投与群(122例),プラセボ投与群(111例)にランダムに割り付けた。被験者の大部分がアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を服用していたほか,ビタミンEと低用量アスピリンの服用も認められた。

 アウトカムを測定する第1の尺度は,AD評価尺度のうち認知に関する尺度(ADAS-cog)で測定された治療開始から12か月の認知機能の変化で,2次的尺度は,治療開始から試験終了までの日常生活動作(ADL)の変化,および施設収容や死亡を含む最初のエンドポイントに至るまでの期間などであった。

 1年後の治療企図分析では,治療開始からのADAS-cogスコア変化の平均値は,プラセボ群が5.69,ナプロキセン投与群が5.77,rofecoxib投与群が7.63であった。

 実薬治療を行った2群の認知機能の低下には,プラセボ群と比べて統計的な差は認められなかった。ただし,rofecoxib投与群の認知機能の低下は,ナプロキセン投与群,プラセボ群と比較して悪化する傾向が見られた。

 同様に,アルツハイマー病共同研究/日常生活動作(ADCS-ADL)尺度で評価されたADLの変化には,3群間に統計的な差は認められなかった。治療開始から試験終了までのADCS-ADLスコア変化の平均値は,プラセボ群が10.6,ナプロキセン投与群が8.7,rofecoxib投与群が8.3であった。

 Aisen教授は「治療群では行動またはQOLに差が見られなかったほか,施設収容や死亡を含む最初のエンドポイントに至るまでの期間についても,治療による効果は全く認められなかった」と述べた。一方,重度副作用の発生率は,ナプロキセン投与群が25例,rofecoxib投与群が26例であり,対照群の15例よりもわずかに高くなっていた。

 重度胃腸障害の副作用も実薬治療を受けた2群でやや多く見られ,プラセボ群の1例に対し,ナプロキセン投与群が2例,rofecoxib投与群が4例であった。

 結論として,同教授は「炎症説は興味深い仮説であるが,証明できていない。現段階では,ADの治療に抗炎症薬の使用を支持する根拠は不十分である」と述べた。 

(平成14年9月12日号 Medical Tribune)

 

私の感想

 アスピリン、イブプロフェンなどがアルツハイマー病の予防に注目されてきましたが、今回はそれに対する否定的な報告のようです。

 

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