動物実験ではアミロイド斑の形成が抑制!
現在米国には,レーガン元大統領をはじめAD患者は400万人いると推定され,2050年には1,400万人に達するという.したがって,その治療は社会的にも大きな課題である.
ADの脳にはアミロイド斑と称する沈着物質が蓄積し,これがこの病気の謎を解く鍵とされてきた.アミロイド斑の主要構成要素はβアミロイドと呼ばれる蛋白で,これは正常組織にも存在し,可溶性の間は無害であるが,銅と亜鉛の沈着によって不溶性の塊に変化し,それが脳でアミロイド斑となる.そして,銅や亜鉛と結合する化合物がアミロイド斑を溶かし去ることが,マウスやADの剖検脳で実験的に証明された.また,キノホルム投与によって,ADの遺伝子操作を加えたマウスで,アミロイド斑の形成が抑制された.金属と結合する種々のキレート剤が試みられたなかで,キノホルムが最も強力であることも分かっている.
キノホルムは,日本ではスモンの原因と分かって昭和45(1970)年に製造発売が禁止された.米国ではFDAによって急性のビタミンB12欠乏を起こすことで発売中止になっている.
スモンについての警戒は必要であるが,昨年末頃オーストラリア,メルボルン大学医学部でAD患者に投与するphase IIの臨床治験が開始され,年内には結論が出る予定である.
(Science 2000;290,Nov.17,1273)
(鴨下重彦)
私にとっては初耳のニュースでした。しかも「phase IIの臨床治験」まで進行中とのことで、アルツハイマー病ワクチンよりも早期に実用段階となるのでしょうね。