釣藤散の長期投与による痴呆の抑止効果について!
釣藤散が脳血管性痴呆に有用であることは、1996年から97年にかけて国内16施設で研究したダブルブラインド法による釣藤散の試験結果が報告されている。釣藤散はプラセボに比較して、8週目から12週目にかけて統計的にも有意に改善することが認められている。今回紹介するのは、釣藤散を長期にわたって投与した試験の結果である(図=省略)。
釣藤散の効果を判定するために、HSD-R(長谷川式簡易知能評価)を行った。
さて、アルツハイマー型老年痴呆は、1〜3年の間に近時記憶障害からはじまり見当識・言語・人格障害などが少しずつ変化していく。しかし、CTスキャンとかMRIなどにおいては変化がなく、2、3年の経過のうちに徐々にその症状が進行していく。今回の症例は1期から2期に、とくに1期に相当して将来痴呆にかなり進展していく可能性がある症例を対象としたものである。 、
釣藤散を3年間投与した全症例57例のうち、脳血管障害(脳梗塞)で何らかの神経症状を呈した人が18例で、年齢分布は70歳代から80歳代に多くなっている。多発性無症候性脳梗塞は13例で、やはり70歳代から80歳代に多い。また、慢性脳循環不全症が18例、アルツハイマー型老年痴呆が8例だった。
次は、アルツハイマー型老年痴呆の症例である。平均年齢は71.6歳であり、かなり強い痴呆状態がでている。プラセボの場合は2年以内に急速に知的レベルの低下を示すデータがあるが、釣藤散の投与によって、これが抑えられていることがこれまでの臨床データからも明らかで、3年を過ぎると、症状にはっきり表れてきている。女性の場合は平均年齢78.0歳である。女性の場合、痴呆はかなり強いケースが認められるが、釣藤散の抑止効果が表れていると解釈できる。点数は少し上がるけれども、24カ月、それから36カ月ぐらいにかなり知的レベルの低下が認められる。脳血流量はあまり著明には改善していない。
以上の結果から、脳血管障害(脳梗塞)、多発性無症候性脳梗塞および慢性脳循環不全症のいずれにおいても、釣藤散の長期投与で、長谷川式評価による知的レベルの低下が長期にわたって抑制されたと考えられる。そして、その数値をドネペジルと比較しても釣藤散は抑止力が強いのではないかと考えられる。とくにアルツハイマー型老年痴呆では、通常は24カ月以内に知的レベルの急速な低下が認められるけれども、釣藤散役与では、24カ月後においても知的レベルの低下は認められなかったということで、釣藤散は寝たきりにならないための1つの薬剤として、その有用性があるのではないかと思われる。
(讃生会宮の森記念病院 後藤壮一郎院長=札幌市中央区)
私の感想
わずか8例の検討ですから、「釣藤散はアルツハイマー病に対して抑止効果がある」と言い切ることはできないでしょうが、再検討してみる価値はあるかもしれませんね。
いずれにしても『ドネペジルと比較しても釣藤散は抑止力が強い』という表現はおかしいですね。と言いますのは、ドネペジルには抑止効果は本来無いからです。
抑止効果に関して論じるのであれば、その対象は“イブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDS)”にすべきですね。