アルツハイマー病

 

 40%の患者は治療に関する自己決定が可能!


〔米ペンシルベニア州フィラデルフィア〕

 ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)内科のJason Karlawish博士らは,初期アルツハイマー病(AD)患者の一部は治療に関する決定を行うのに十分な認知能力を有することを示す新たな研究結果をNeurology(2005; 64: 1514-1519)に発表した。問題は,その能力を有する患者をどのようにして見分けるかである。

 

3人の精神科医に判定を依頼

 Karlawish博士らは軽度〜中等度のAD患者48例を対象に洞察力を検討し,その内容を102人のケア担当者(対照群)の所見と比較した。

 まず,治療選択肢を患者が理解できるかどうかについて,健康に関する 3 つの質問を行った。質問内容は,(1)記憶や思考について何か問題を感じているか(2)記憶力や思考力が悪くなっていないか(予後に関する理解度を見る) (3)痴呆やADがわずかでもあるか−とした。

 また,これらの質問に先立って,患者にはあらかじめMini-Mental State Examination(MMSE)を実施し,11〜19点を中等度,20〜23点を軽度,24点以上をごく軽度の痴呆と判定した。

 次に,患者とのインタビューを録音したテープを 3 人の精神科医に聞かせ,MMSEの点数を知らせずに痴呆度を判定するよう求めた。

 精神科医はAD患者48例中19例,すなわち40%は患者自身の治療について決定能力があると判断した。また,同博士によると,MMSEの分析から, 19点以下,24点以上で十分な感度があることが示された。つまり,24点以上であれば決定能力があると考えられ,20〜23点は中間領域で,決定能力についてはなんとも言えないという。

 

早期診断の重要性を再認識

 Karlawish博士は「これらの結果は,自分自身あるいは身近な人にADの徴候が疑われたら医師の診察を受けるべきもう1つの理由となる。早期診断により,患者自身が自分のケアに関する決定に参加できるようになるからである」と説明。「また,自己の診断,症状,予後を認識している患者は決定能力が高いことからも,この点は重要である」と述べている。逆に,自分の状況に無関心になるのは,自分の治療に関する十分な決定能力を失いつつある徴候であるという。

 さらに,同博士は「現在のAD治療薬は低リスクであるが,開発中の薬剤はより高リスクである恐れがあるので,リスクを伴う治療の可否を決定する能力が患者にあるかどうかを知る方法があれば,医師にとっても家族にとっても有益であろう」と付け加えている。

 ロチェスター大学(ニューヨーク州ロチェスター)のMichael Mc-Quillen博士は,同誌の付随論評(2005; 64: 1494-1495)で「この知見は,痴呆と診断されたからといって,患者が自らのケアに関する決定に参加するのを常に否定すべきでないことを示している」と述べている。

(以下省略)

(平成17年8月11日号・Medical Tribune)

 

私の感想

 認知症患者さんの“自己決定能力の有無の判断”という非常に難しい問題・課題に対する解決方法をこの論文は示唆していると思われます。

 成年後見制度で“財産の処理能力の有無”とよく問題となりますが、認知テストの点数だけでは判断が困難であるという問題点も以前から指摘されていました。より正確な判断能力の有無に関する研究が進展することも大きな課題なのです。

 

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