痴呆症の遺伝子検査に疑問

 

 アルツハイマー病の遺伝子検査で恩恵を受けられる者が果たしているのか?!


【独ウィースバーデン〕アルツハイマー病(AD)の遭伝子検査で陽性所見が得られた場合には、40〜50歳で痴呆症にかかる確率が高いことが予測できる。しかし、ギーセン大学ヒト遺伝学研究所のUlrich Muller教授は「このような検査の恩恵を受けられる者が果たしているのか」と検査の意義に疑問を投げかけている。

 

患者の大半は弧発性

 AD(アルツハイマー病)患者の大半は遺伝によるものではなく,孤発性に発症する。優性遺伝するのは約10%足らずで,しかも原因遺伝子は約3分の1しか同定されていない。現在,その遺伝子がコードする蛋白質として知られているのはプレセニリン1,プレセニリン2,アミロイド前駆体蛋白質,アポリポ蛋白質である。これらの遺伝子の突然変異は早期発症型のADに認められる。プレセニリン1と2をつくる遺伝子を有する人は60歳以前に痴呆を発症する恐れがある。アミロイド前駆体蛋白質をつくる遺伝子を有する場合は40歳末満で発症するリスクがあるが,きわめてまれである。

 これら4つのうち3つの遺伝子の検査は,同研究所でも受けることができる。しかし,親族にAD患者がいる場合でも,一定の条件をクリアしない限り同検査を受けることはできない。ハンテントン病の場合と同様,検査を受けることができるのは遺伝性であることが立証されたAD患者の親族だけである。例えば,父親ないしは祖父がADだったが,遺伝子検査を受けることなく既に亡くなっている場合は,その親族でも遺伝子検査の適用対象ではない。

 AD患者が原因遺伝子陽性の場合には,その親族が希望すれば検査の相談に応じる。まず,検査結果の意味を説明したうえで,今のところ治療法がないことを十分に理解させる。さらに,最低6週間の熟慮期間を置さ,再度面談の機会を設け,その時点でもなお検査を希望している場合に限り,実際に採血に踏み切る。次回の面談時には,信頼でさる人または心理学者同伴で来るように指示し,こうした条件が満たされた場合にのみ検査結果を伝える。

 同研究所では,これまでのところ,このような条件を満たして実際に検査を受けたのはAD患者だけで,健常者は皆無である。

(平成14年12月19日号 Medical Tribune)

 

私の感想

 私も時折、「家族にアルツハイマー病の患者がいるので遺伝が心配。調べて欲しい」と言うような類の相談を受けますが、今まで「調べても現状では治療方法がないですよ」と説明してきました。

 今回もアルツハイマー病の遺伝子検査に疑問を投げかける論文で、ごく一部の限られた方にしか実施すべきではないという論旨で安心しております。

 

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