イチョウ葉エキスには精神機能賦活効果ない

 

 他の健康食品の「有効性評価」も厳密に行われるべき!


〔ニューヨーク〕ウイリアムズ大学(マサチューセッツ州ウイリアムズタウン)心理学のPaul R.Solomon教授らは健康な61歳以上の高齢者230例を対象に研究を行った結果,OTC薬として米国で販売されているイチョウ葉エキスは,健康な高齢者の記憶に関連する精神機能になんら効果をもたらさないことがわかった。この研究結果は,JAMA(2002;288:835−840)に発表された。

 

自・他覚的な効果見られず

 6週間にわたる研究の結果から,イチョウ葉エキスには,学習,記憶,注意,集中力,ネーミングなどに関する通常の神経心理学的テストにおいて,認知障害のない高齢者の成績向上をもたらす作用は認められなかった。また,同エキス服用群において,記憶機能に関する自己評価や,配偶者,友人,親族による全体的な評価では対照群との差異はなかった。

 筆頭著者のSolomon教授は,提携先のサウスウェスタンバーモント医療センター(バーモント州ペニントン)メモリークリニックを訪れる患者とその家族の多くから,加齢による記憶力低下を遅延または回復させる効果がイチョウ葉エキスにあるのかという質問を受けてきた。

 今回の臨床試験に参加したのは,地域に在住しmini-mental state examination(MMSE)のスコアが26を超える61歳以上の健康な男女230例(男性98例,女性132例)。積極的治療グループは医薬品メーカーが規定する用法・用量に基づき,OTC薬のイチョウ葉エキス40mgを1日3回服用した。6週間後の再評価の対象となったのは219例で,そのうち203例がプロトコールを完了した。

 試験開始時および6週間後に,言語的,非言語的な学習と記憶,注意と集中力,ネーミングと表出言語に関する14の通常の神経心理学的テストを参加者に行い,さらに参加者自身および参加者と親しい関係にある者(配偶者,パートナー,友人ら)に,参加者の精神機能を主観的尺度で評価してもらった。イチョウ葉エキスのメーカーは,効果は服用の4週間後から現れ始めるとしている。

 ニューヨーク大学シルバースタイン加齢・痴呆研究所長で,同大学でアルツハイマー病を専門とするSteven H.Ferris教授は,この臨床試験は方法論的に「重要かつきわめて適切に実施された」と評価している。

 Solomon教授によると,JAMAに今回の研究報告が掲載されるまでは,記憶に対するイチョウ葉エキスの効果についての科学的で厳密な研究は存在しなかった。しかし,脳血管障害やアルツハイマー病患者の認知に対する同エキスの効果を報告する研究は存在していた。

 

適切な効果テストが必要

 Solomon教授は「イチョウ葉エキスのメーカーは健康な成人における記憶力回復効果を主張しているが,適切に実施された研究結果がこのような効果を指摘している例はない」と説明。また,「処方された薬剤は,規制当局の方イドラインに沿った厳格なテストを受け,また当局がそのテスト結果を評価・検討している。しかし,少なくとも米国では,OTC薬についてはその製品に村する厳格なテストが行われたのか,宣伝内容をだれかがチェックしているのかはわからない」と述べている。

 同教授は「あらゆるOTC薬と同様に,イチョウ葉エキスを服用している者,あるいは服用を考えている者は,何が正しいのかを自分で判断しなければならないが,その判断は科学的な研究に関する知識に基づいてなされるべきだ。また,特に他の薬剤やサプリメントを服用している場合の副作用の可能性や,コストについても考える必要があるだろう。今後,イチョウ葉エキスなどのビタミン剤や栄養剤について,本当に宣伝通りの効果があるのかテストが行われることを願う。ハーブ製品に関しても,その宣伝内容を裏づけるデータが示されるべきで,それは厳格に行われた研究に基づくものでなければならない」と主張している。

 Ferris教授は「天然物を含むすべての薬剤の効果に関する宣伝内容が,適切に実施された臨床試験の科学的に有効な結果により裏づけられることが非常に重要である」と付け加えている。

(平成15年1月30日 Medical Tribune P37)

 

私の感想

 長年愛用されてきた患者さんも多いと思いますが、今回の結果は悲観的な結果が出たようで誠に残念です。

 健康食品の「有効性の評価」が曖昧であるという問題点も提唱されたようです。 

 

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