アルツハイマー型痴呆

 

 抗痴呆薬の2剤併用に相加作用!


〔独シュランゲンバート〕

 アルツハイマー型痴呆に対する最先端治療の種類はますます増えているが,その一方で,既存の治療法の至適化を目的とした併用療法の研究も進められている。アルツハイマー型痴呆に対しては,N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬のmemantineとアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の有効性がともに実証されているが,マンハイム精神保健中央研究所のLutz Frolich教授は「作用機序の異なるこれら 2 つの治療薬を組み合わせれば,相加作用を見込めそうだ」と“痴呆の未来フォーラム”の第14回ワークショップで報告した。

 

認知能力,ADLが改善

 軽度〜中等度のアルツハイマー型痴呆の治療薬として,これまで多く用いられてきたのはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬である。しかし,ごく最近になってmemantineの優れた臨床効果が確認されたため,同薬が中等度〜重度のアルツハイマー型痴呆に対する治療薬としてドイツで新たに承認された。

 既に米国のロチェスター大学医療センター(ニューヨーク州ロチェスター)のP. N. Tariot氏らが行った臨床試験(JAMA, 2004; 291: 317-324)では,これら 2 剤の併用が有意義であることが実証されている。同試験は,一定量の塩酸ドネペジルが前投与されていた中等度〜重度のアルツハイマー型痴呆の外来患者を対象に実施され,二重盲検法により塩酸ドネペジル+memantine,または塩酸ドネペジル+プラセボの投与が半年間行われた。その結果,併用投与群では認知能力が改善し,日常生活動作(ADL)が向上したことが確認された。

 Frolich教授は「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とmemantineとの併用は,アルツハイマー型痴呆の治療を至適化させるものとして,臨床でルーチンに適用されるようになるかもしれない」と指摘した。

 現在では,軽度〜中等度のアルツハイマー型痴呆患者や軽度認知障害(MCI)患者を対象とした同様の併用投与試験も実施されている。MCI患者に対しては,galantaminとの併用とmemantineとの併用の比較が行われている。細胞レベルでは,グルタミン酸作動性ニューロンとコリン作動性ニューロンとの間で直接的な相互作用が繰り広げられ,グルタミン酸作動性ニューロンによりコリン作動性ニューロンの活性に機能的変調を来すことが突き止められている。この病態生理は,治療面に応用可能と考えられる。

 

併用療法をすべての患者に

 また,併用療法により,アルツハイマー型痴呆の病態生理における種種の側面に同時に影響を及ぼすことも試みられており,この神経変性疾患の進行を緩徐化させるチャンスが増えるのではないかと期待されている。さらに,効果を至適化させる可能性を探る試みもなされている。

 Frolich教授は「患者が標準的物質の1つに反応した場合には,これまで併用療法は行われてこなかった。しかし,すべての患者に対して併用療法を試みる価値はあるのではないか」と主張した。ただし,こうした併用療法は,痴呆治療ガイドラインにおける一般的推奨事項としてはまだ取り上げられていない。

(平成17年1月6日号 Medical Tribune)

 

私の感想

 日本国内でも近々メマンチンが認可される予定ですが、アリセプトのレスポンダー(=有効群)では、更なる効果を期待してアリセプトとの併用が検討されるケースが出てくるかもしれませんね。

 

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