八味地黄丸が痴呆を改善

 

 二重盲検試験で明らかに!


 漢方薬の八味地黄丸の老人性痴呆に対する効果を二重盲検ランダム化比較試験(RCT)で検討した結果、認知機能とADLを改善することが分かった。東北大先進漢方治療医学講座助教授の岩崎鋼氏が、第46回目本老年医学会学術集会で発表した。

 岩崎氏らは、軽症から中等症のアルツハイマー病、脳血管性痴呆および両者の混合型の痴呆患者33人を、八味地黄丸(ウチダ和漢薬製)30丸/日の群17人とプラセボ30丸/日の群16人にランダムに分けた上で、8週間にわたって内服させた。両群の背景因子に差はなかった。

 治療前と治療終了後、さらに8週間経過後の時点で、認知機能の指標であるミニメンタルステート検査(MMSE)スコアと、ADLの評価指標であるBarthel Indexを測定した。

 その結果、MMSEスコアは、実薬群では治療後に2.5ポイント有意に改善し(p<0.01)、8週間経過後は治療前の値に戻った。プラセボ群では有意な変化は見られなかった。Barthel Indexも、実薬群では治療後に17.5ポイント有意に改善し(p<0.01)、8週間経過後は治療前値に戻った。八味地黄丸に関連する副作用はなかった。

 八味地黄丸は、SPECT(単光子放出断層掘影)を用いた別の研究で、老人性痴呆患者の前頭葉や側頭葉の脳血流を改善させることが分かっている。今回の結果の詳細は、米国老年医学会誌9月号に発表される予定。

(平成16年7月号 日経メディカル・トピックス P48)

 

私の感想

 上記の記述で、一番知りたい点は、『軽症から中等症のアルツハイマー病、脳血管性痴呆および両者の混合型の痴呆患者33人・・』と記載してありますが、どのグループが最も効果発現が顕著であったのかという点ですね。

 ところで、痴ほう症に効果がある漢方薬として、従来は、「当帰芍薬散」が有名でした。

 福岡大学薬理学教室の藤原道弘教授が報告した、アルツハイマーラットを用いた実験での検討結果によれば、当帰芍薬散による記憶改善効果は、50%に認められたとされております。

 ただ私もかつて、かなり多くの症例で「当帰芍薬散」をアルツハイマー病患者さんに投薬したことがありますが、その効果は確認されませんでした。

岩崎 鋼先生より、直接コメントを頂きました。

 残念なことにあの記事は、私の発表を記者が学会会場で聞いての紹介形式となっているため筆者確認はされておらず、記事内容に一部不正確な箇所がありますので連絡致します。

 

 まず、対象患者のMMSEは1点から23点まで幅広く分布していました。従って、正しくは「重度から軽度の痴呆患者」とすべきであります。前値の平均は実薬群で13.8 ± 8.3(mean+/-SD)、プラセボ群15.9 ± 7.5であります。8週間の治療後、実薬群が16.4 ± 6.8と有意に改善したのに対し、プラセボ群では16.5 ± 6.8と前値と比べ有意差はありませんでした。

 nが比較的小さいためMMSE前値で層化した検討は行っておりませんが、不思議なことにMMSE1点だった人が4点へ、5点の人も7点になっており、MMSEの改善は前値の善し悪しとは余り関係なく観られています。

 もう一つ、一日服用量もあの記事は間違っています。ウチダの八味地黄丸は一回が一袋20粒(2g, 一粒は直径約4mm)なので、一日では60粒(6g)になります。ちなみに、八味地黄丸はメーカーによって内容成分及び加工法が若干異なります。その後の観察では、control testではありませんが、他社メーカーのものでは余り有効でないようです。この差はおそらく、加工法(他社では水で煮たエキスを用いているのに対し、ウチダのものは乾燥生薬をそのまま粉砕し蜂蜜で練って丸薬としている)によるのではないかと推察しています。

 以上、多くの方がご覧になっておられるようなので著者よりコメントさせて頂きました。なお子細は来月発売になりますJ of Am Geriatr. Med (JAGS) 2004.9月号をご覧下さい。

岩崎 鋼 

 岩崎 鋼先生、丁重なコメント誠に有り難うございました。正確な情報の普及につながりますので非常に助かりました。

 

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