アルツハイマー病 基礎的研究における進歩

 エストロゲンの神経修復作用はApoEを介する!


基礎的研究における進歩

 優性遺伝する痴呆症である第17番染色体に連鎖するパーキンソンを伴う前頭側頭葉型痴呆の家系で、タウ遺伝子上に複数の突然変異が発見され、原因遺伝子と同定された。

 老人斑は経過とともに数が増えるのでなく、生化学的には老人斑1つあたりのアミロイド量が増加する。脳内のβアミロイド前駆体蛋白質(APP)の発現量は、健常人では年齢による違いはない。

 プレセニリン1(PS-1)欠失マウスは出生前後で死亡するが、このマウス由来の培養神経細胞ではγセクレターゼの働きが抑制されAβ(アミロイドβ蛋白)が産生されない。PS-1蛋白はプロセッシングを受けた後、限定分解産物の形で組織中に存在する。プレセニリン遺伝子に変異を導入すると、小胞体によるCaホメオスターシスの異常やミトコンドリア障害が発生して活性酸素の産生が亢進する。

 アポリポ蛋白E(ApoE)遺伝子の転写を調節するプロモーター領域で、転写開始領域から四九一塩基上流の部位にAとTが多い型(-491A/T多型)のホモで有すると、アルツハイマー病(AD)のリスクが高い。

 卵巣摘出マウスで内嗅野を破壊した際の海馬の神経終末の再構築はエストロゲンで回復するが、ApoEノックアウトマウスでは認められないことからエストロゲンの神経修復作用はApoEを介する

 

診断と治療における進歩

 「いかに早期に診断して、早期に治療を開始するか」がADの薬物治療戦略の鍵である。生物学的マーカーとして、分子遺伝学的マーカーと生化学的マーカーがある。前者は主に家族性ADでの遺伝子検索に使用されているが、早発型家系でも典型的な場合に限るべきという意見もある。後者では脳脊髄液中のタウの高値とAβ42の低値を組み合わせることで、診断の感度、精度ともに上昇する。

(伊苅弘之) 

(参考文献:平成11年2月13日号 日本医事新報・臨床医学の展望)

 

私の感想

 かなり、専門的な難しい内容ですが、「エストロゲンの神経修復作用はApoEを介する」という部分は参考になりますね。

 アポリポ蛋白異常によるアルツハイマー病の危険群は、エストロゲンの予防的投与をした方が良いのかもしれませんね(!?)。

 

ご意見はこちらまで

ホームへ戻る